過去を凌駕する
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「っんなことはわかってんだよ!!」
回避することは許されない。選択肢を減らされたラクサスだったが、不思議と焦りはない。
「永久凍土!!」
黒い氷に風、水を纏った拳。彼はそれを受け止めるものだと思っていた。だが、ラクサスはその拳に見向きもしていない。
「これでも喰らいなぁ!!」
クロスカウンター・・・そのやり方に見覚えがあった。大魔闘演武でシリルがレオンへとやった先制攻撃。ラクサスはそれをこの土壇場で繰り出してきたのだ。
「何!?」
わずかなリーチの差で雷を纏った拳が頬へと突き刺さった。しかし、ティオスの魔力は強大。拳が届いていなかろうと、彼の魔力がかすってしまったことにより、青年の肩から鮮血が飛び散る。
「球の章!!」
接近戦にもつれ込んでいるラクサスたちとは逆に、カミューニは距離を取り天海へと挑んでいた。
「くくっ、やはりお前に魔水晶を与えて正解だったな」
魔法が使えない天海は距離があると攻撃のしようがない。カミューニの判断を称賛する天海。しかし、それで降参することなど彼にはありえない。
「もっと攻めてこい!!」
人間とは思えないほどの速度でダッシュする天海。カミューニもすぐさま距離を取ろうと下がるが、それでも天海の方が圧倒的に速かった。
ゴッ
「ぐっ!!」
腹部に突きつけられた拳。下からの攻撃に体を持ち上げられた彼に対し、回し蹴りでさらに追撃する。
「ごはっ・・・」
地面を転がり倒れ込むカミューニ。その口からは赤いものが流れていた。
「お兄ちゃん!!うっ・・・」
マルギティ=センスは繋いでいる全員の感覚をランクさせる。ケガこそ共有されないが、カミューニの受けたダメージはメルディたちにも繋がっていた。
「メルディ!?しっかりするんだゾ!!」
「感覚リンクでこれだけのダメージ・・・」
思わず膝をついてしまったメルディ。ソラノが声をかけるが、ジェラールの言う通りダメージが大きい。
「すまねぇ!!歯ぁ食い縛って耐えててくれ!!」
ダメージを受けずに天海を抑えることは不可能。今の彼にできる気遣いはこれが限界。
「これくらい何ともねぇ!!」
「お前はいつも通りに戦えばいいんだ!!」
エリックとレーサーが痛みに負けないようにと声を張り上げる。当然カミューニも止まることはしない。不利であっても、接近戦になってしまった以上それをするしかない。
「お前は俺が止めてやる!!」
体重全てをかけて体当たり。その勢いは凄まじく、絶対的な能力を誇る天海が押し込まれていた。
「何!?」
思わぬ反撃に目を白黒させる。カミューニはなおも押し続けていた。
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