暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
中村希の憂鬱
6話 可愛い奴めー
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机に突っ伏してとろけている。

「よーヨミ!中間どうだった?」

 凄くいい笑顔で稜が言う。詠深は自分と同じ仲間だと思っているのだ。

「ふっふっふ。来ると思ってたよ……じゃーん」

 詠深は中間テストの点数を広げて稜に見せつける。学年401人中29位。現国の68点が最低点で、ほとんどの科目が高水準。数Tと世界史に至っては100点満点である。

「ウソだろ?……仲間だと思ってたのに……」

 稜は紙を受け取ると、涙目になった。

「文武両道……尊敬します」

 横から詠深の点数を覗いた白菊も溢れる涙を抑えきれない。裏切られた……。2人の表情がそう物語っていた。

「稜ちゃん……まさか赤点取ってないよね?」
「そ……それは大丈夫……」

 じーっと稜の目を見つめて問い詰める芳乃に、稜は思わず顔を逸らす。

「芳乃ちゃーん……無表情怖いよー……」

 感情の無い芳乃の表情に、正美すらも若干引いていた。

 稜の言葉に芳乃は安心したように笑顔になる。

「な〜んだ。稜ちゃんが大丈夫ならみんな大丈夫だね」
「おーいそれどういう意味ですか?正美と言い、芳乃と言い方……」

 自分の成績が決して良くない自覚のある稜は強く出れない。

「あはっ。可愛い奴めー」

 正美は再び稜の頭に手を伸ばし、よしよしと頭を撫でた。

「嬉しくねぇ!」

 稜もまた、抗議の声を上げるのだった。

「ところで、何を話してたの?
「それが、全然勝てないなぁって。これ、練習試合の結果なんだけど……」

 正美の問いに、芳乃は詠深の机の上を指さす。詠深の机には複数のスコアが表示されたスマートホンが置かれていた。

「あー……」

 稜は納得いったような反応を見せる。

「しかしよく試合受けてくれるよな。ほとんど1年のチーム相手にさ」
「監督が頑張ってくれてるし。それと……負けてるとはいえ格上相手にいい試合してるからね」

 稜の疑問に芳乃が答える。

「でもまぁ、私は楽しいよ。1年からいっぱい試合に出れてさ!」

 な、白菊に同意を求める稜であった。

「同感だけど勝ちたいよ、やっぱ」

 詠深はまたとろけてそう言う。

「え?うちまだ1回も勝ってないの!?」

 合宿後に入部した為、新越谷でまだ試合をしていなかった正美は驚愕の事実を知る。

「実はそうなんだ〜」

 芳乃は正美にスマートホンを渡した。

「ヨミちゃんやタマちゃんに希ちゃんがいるのにどうして??????あー??????」

 試合相手を見て、正美は納得する。スマートホンには、名門校やそこそこ名の知れた学校が並んでいた。

「てか、こんな所と練習試合を取り付ける先生って何者????
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