絶対に夜空は見上げない
[3/3]
[9]前 最初
」
「そういえば、<カサンドラ>って、あんまり、いい意味じゃないんでしょ? なんか、名前をつけるときも学会で揉めたって」
彗星が通っているらしい。みんなはそれを見て、思い思いに楽しんでいるようだ。私は夜空を見上げない。別に反抗の意志ではない。手元にある学生証を見つめながら、岡本さんという人のこと、フードアートのこと、そして自分の将来のことを考えていたのだ。そこに星が入り込む余地はなかった。
この学生証はどうしようか。明日も三連休最後の日で、まだ休みだ。大学があるのは隣の県だけど、明るいうちに行って帰ってこられるなら、お母さんも許してくれそうだ。ただ、一人ではダメだと言われるかもしれない。
私は学生証をポケットに入れて立ち上がった。それから、見晴らしのいい、人が一番集まっている場所に向かって駆け出す。彗星はもう去っていた。人混みの中に、赤いハットを頭に乗せた女の子を見つけた私は叫ぶ。
「マイちゃん! 明日、予定ある?」
(終わり)
[9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ