暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga8結界王は夢を見るか〜Dream of Alice〜
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望まないと生前に話していたから、俺たちはいつまでも悲しみに沈まないようにしていた。

「で、顔や姿はつい最近。嬉しかったよ。ようやく全体像が判って、3人の掛け合いとかいろいろが面白くて、毎晩の楽しみになってる」

「(毎晩・・・頻度が高いな)そうか。もし・・・嫌な記憶を見るようになったら言ってくれ。どうにかして処置する」

「うーん、たとえば?」

「記憶を消す術式を持っている。複製術式の中にあ――」

――■■■■――

「なんだ・・・?」

「「ルシル?」」

アイリとセラティナが俺の顔を覗き込んできた。俺は「いや。なにか声がしたような・・・」と左手で頭を触れる。

――お前■■■■■■■■だ――

(なんだ、この声は・・・)

判らない。判らないが、「なんでもない。複製は使えないんだったよ。別の方法で対処する」と伝える。セラティナは「そうなの? 使えないって、不調?」と聞いてきたため、「そんなところだ」と首肯した。

(そうだ、俺は複製術式を使えないんだった・・・)

「ふーん。・・・でも、記憶は消さないでほしい。とても大事なものだと解かるから・・・」

「そうか」

「あのね、よかったらアリスのこと、もっと教えてくれない? もちろん記憶のこととかじゃなくてアリス自身のことを」

期待に満ちるセラティナの瞳に、俺は「じゃあ――」と、アリスの基本的な情報を伝えた。当時は珍しかった結界術式に優れた魔術師であったこと。それゆえに結界王と称されていたこと。シエルとカノン、さらに“戦天使ヴァルキリー”の年少組とはとても仲が良かったこと等々。

「・・・今日はありがとう、ルシル。おかげでスッキリ出来たんだけど・・・。ルシルは初代の記憶も持ってるということは、アリスと過ごした記憶もあるんだよね?」

セラティナの言葉に、俺の脳裏に次々と浮かんでくるアリスと思い出。セラティナは椅子から立ち上がろうとしていたが再び座り直した。

「嫌な思い出って、やっぱり辛かったり悲しかったりするやつ・・・?」

「ああ。俺でも思い返しただけで胸が張り裂けそうだ。アリスが組織を辞めたのは彼女の精神が仲間の死ですり減っていたからだ。アリスの憔悴しきった様子に、初代たちが彼女を可哀相に思って記憶を消したくらいだ」

「えっ、消したの!? アリスの記憶を!?」

「ああ。ヨツンヘイム連合に拉致された頃からアンスール壊滅までの記憶すべてを。もちろん、失った分の期間の記憶を補填することも忘れていない」

そこまで言ったところで俺とセラティナは「え?」と漏らした。自然と話していたが今のセラティナが消えているはずのアリスの記憶を見ることなど、俺が与えない限りは不可能だ。ドッと嫌な汗が全身から噴き出すのを自覚す
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