暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga8結界王は夢を見るか〜Dream of Alice〜
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の戦いですべてを失うか、それはその時になってからじゃないと判らない。今は願うしかない。少しでも思い出が残った状態で終戦を迎えたい、と。

「嬉しいことを言ってくれるね♪」

本当に嬉しそうに満面の笑顔を浮かべてくれたセラティナに、じゃ、と軽く手を挙げて去ろうとしたんだが、「ごめん。ちょっと時間くれない?」と呼び止められた。迷いが見える声色だったため、俺は「ん?」振り返った。

「えっと、笑わないで聞いてほしいんだけど。夢・・・の話で」

「流石の俺も夢占いは門外漢だぞ」

「ちーがーう。・・・アリスという名前に心当たりは?ある」

セラティナの口からその名前が出てドキッとした。俺の様子から知っているのだと判断したらしい彼女は「知ってるということは、ただの夢じゃないということか」と唸った。

「なら、シエルとカノンという名前にも・・・心当たりはあるみたいだね」

当たり前だ。シエルは俺の実妹の名前だし、カノンは愛弟子の名前だ。アリスという名前がセラティナの口から出て動揺したところにあの2人の名前を出されたら、いくら俺でも何も言えなくなってしまう。無言は肯定とよく聞くが、まさに今の俺の状況だった。

「夢の中だということもあって顔の輪郭は朧げだったけど、シエルの特徴はハッキリ思い出せる。銀髪に紅と蒼の虹彩異色。明らかにルシルの縁者でしょ? カノンは金色の髪がとても綺麗だったのは覚えてる」

(アリスの記憶を与えるのはさすがに・・・)

結界魔術の天才と噂されていたアリスは、その噂を耳にしたヨツンヘイム連合に拉致された。そして薬漬けにされて、俺たちアースガルド同盟との戦いを強いられていた。それだけでも十分辛い記憶だ。
さらにアリスの記憶には“アンスール”との時間という思い出もある。彼女が“アンスール”を脱退した理由は、メンバーが続々と戦死したことで精神をすり減らしたことにある。無理に笑顔でいようと振舞っているのが見ていられなくなり、生き残りの俺たちが相談して、アリスの記憶を消去してミッドガルドの騎士団に預けた。
彼女とはそれっきりだ。だからセラティナという子孫が存在することに驚きもあったし、アリスが普通に女性として幸せを掴んでいたことに嬉しさもあった。そんなアリスの記憶を、セラティナに与えてもいいのだろうか・・・。

「・・・ルシル。もしこれが夢じゃなくて前世の記憶というものなら・・・教えてほしい。アリスは、私と関係のある人間なの?」

真剣な表情のセラティナに俺は「判った」と頷くしかなかった。とりあえず通路のど真ん中でするような話じゃないため、「場所を移そう」と提案して、俺の部屋へと向かう。徐々に俺の部屋に近付くにつれて後ろを付いてくるセラティナがソワソワしだすのが判った。そしてとうとう目の前に来た時・・・
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