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提督はBarにいる。
舌戦、舌戦、また舌戦・1
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先を喪った左腕を掴んでいた。

「あ〜らら、開き直ってるかと思えば。気にする位ならさっさと再生治療なり義手の装着手術なり受けりゃあいいのに。なんなら、腕のいい医者でも技師でも紹介するぜ?」

 技師の方はウチの明石になるかも知れんがな、と更に続ける。

「……いい加減にしろ、金城」

「だからいい加減にやってま〜す」

「んのっ……!」

 ついに堪忍袋の緒が切れたか、元帥の傍らに控えていた霞が、その唯一残った右腕で殴り掛かってきた。幾ら常人よりも強化されている艦娘の膂力とて、それを普段から相手にしつつ手玉に取る男が相手では結果は見えている。

「くっ……!この、離しなさいよ!」

「おいおい、自分から殴り掛かってきておいて随分な言い草じゃねぇのよ」

 提督の鳩尾を狙った拳は易々と受け止められ、その拳は提督の握力でミシミシと悲鳴を上げていた。

「いい加減に……しろっ!」

「おっと、手癖だけじゃなく足癖も悪いのか?全く……天下の横須賀大本営がこの体たらく。先が思いやられますなぁ、元帥殿?」

 提督は追撃に放たれた左のミドルキックも見事に抑え込み、元帥に向けてニヤニヤと嘲笑を向ける。三条河原元帥としては反論の陰口の一つも叩いてやりたいが、如何せん挑発に乗って己の秘書艦が先に手を出してしまっている為にその反撃は出来ない。いや、出来なくもないがそれを糸口に十倍二十倍の反撃をしてくるのが金城零二という男だと、いやと言うほど理解しているのだ。

「……大人しくしていろ、霞」

「だって、こいつは……!」

「聞こえなかったのか?霞。大人しくしていろ、と私は言ったのだが?」

「っ!……解った、わよ」

 渋々と、本当に渋々と金城提督に向けていた力を抜く霞。敵対する意思を感じなくなった為か、提督も拳を、そして掴んでいた左足を離す。

「……水色の縞パン」

「何覗いてんのよ、このクズ!変態!エロ大魔王!」

「足振り上げて見せつけといて、変態呼ばわりはねぇだろうに。不可抗力だよ不可抗力、見えちまったモンは仕方無い」

「〜〜〜〜〜〜っ!」

 霞はギリギリと歯軋りをしつつ、金城提督を射殺さんとばかりに睨み付ける。対して金城の秘書艦である金剛は『darlingは何処でも平常運転デスね〜』と、若干現実逃避していた。

「それで?忙しくて定例の会議にすら出てこない貴様が、いきなり何の用だ?貴様の訪問予定は聞いてないが」

「あぁ、それか?特に用事はねぇのよ。ここには」

「…………は?」

 あまりにあまりな返事に、ポカンとする三条河原元帥。

「いやぁね?横須賀っつーか東京の方にちっと野暮用があったんで、ウチの艦隊の移動に一緒にくっついて来たんだわ。そんで、一応
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