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提督はBarにいる。
舌戦、舌戦、また舌戦・1
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ってのは……管理不行き届きだと思うんだが、その辺どうお考えですか?後藤課長」

 後藤課長の方が歳上とはいえ、立場は提督の方が上。いくら部下が理不尽な目に逢わされていようともおいそれと文句は言えない。しかも、提督の言い分に一理あるのも確かなのである。

「これは部下が失礼を致しました。どうぞお通り下さい」

「あっそう?じゃあ通らせてもらうかな。……あぁそうそう、その守衛君、早いトコ病院連れてってあげなよ?」

 提督は実にあっけらかんとして、金剛を伴って庁舎の中へと入っていく。ズボンの左足の血糊など一切気にした様子もなく、だ。

「あ、あれが『海軍の狂犬・金城』ですか……」

「俺初めて実物見ましたよ」

「おっかねぇ」

 後藤の後ろに付いていた部下達は口々に、今見せつけられたショッキングなシーンの感想を呟いた。

「狂犬だって?アレはそんな可愛らしい物じゃないさ。さぁさぁ、その重傷者を病院まで運ぶぞ!それと守衛を新しく立たせておけ!」

 後藤課長は部下にテキパキと指示を出しながら、そう言えば彼は何をしに来たのだろう?とふと考えた。しかしその疑問もすぐに忙しさの中へと飲み込まれ、消えてしまったのである。




 大本営の廊下を、我が物顔で進む提督。時折親しげに声を掛けてくる者も居り、その人物達と親しげに二言三言交わして更に奥へと進む。やがて重厚な扉の前に到着する。そこには、『元帥執務室』と打たれた金のプレートが取り付けられていた。その扉を3度、提督はノックする。

『誰だ?何か急用か』

 扉の向こうから返答があったのを確認し、返事もせずにドアを開ける。その姿を室内に居た2人が確認した瞬間、その顔は苦虫を万匹纏めて噛み締めた様な渋面に豹変した。

「おんやぁ?部屋を間違えたかな?眼鏡掛けたモアイ像が椅子に座ってやがる」

「……何のつもりだ?なぜ貴様がここにいる」

「おおっとぉ、こいつぁ驚いたぜ。最近のモアイ像は喋るのか」

 部屋の主である男からの言葉を無視して、更に煽る提督。実際部屋の主である現行の元帥ーー三条河原征利は、角張った顔でしかも面長な上に彫りも若干深めだ。見ようによってはモアイ像に見えなくも無い。が、いい歳こいた大人の口にしていい煽り文句ではない。

「ちょっと!こっちは何でアンタがここに居るか聞いてんのよ?さっさと答えなさいよ」

「お〜お〜、元気そうだなぁ『悲劇のヒロイン気取り』。いい加減義手でも付けたらどうだ?んん?」

 元帥の傍らに控えていた秘書艦である霞が、提督に喰ってかかる。だが、口喧嘩なら負けないと豪語する提督の相手では分が悪い。その上本人の気にしているであろう部分を的確に抉るのが提督の攻撃……ならぬ口撃である。咄嗟に霞はその肘から
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