舌戦、舌戦、また舌戦・1
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1時間以上もタクシーに揺られ、提督と金剛は横須賀大本営に辿り着いた。後は悠々と中に入るだけ……のハズだったのだが、提督と金剛は入り口の所で足止めを喰らっていた。
「だ〜か〜らぁ、俺は本物のブルネイ泊地の金城だっての」
「本日登庁の予定は聞いておりません。アポイントメントを取ってからいらして下さい」
「だから、別に大本営に大した用事はねぇんだよ」
「であれば、尚更お通しする訳には参りません。お引き取りを」
門前の守衛らしき若い兵に止められていたのだ。チラッと顔見せするだけだから通せ、という提督に対して忙しいからそんな理由で通すわけにはいかない、の一点張りで動かない兵士。徐々に提督は苛立って来ているのか、顔が赤みを帯びて額の端に青筋が浮かんでピクピクとし始めている。
「面倒くせぇな、意地でも通さねぇってんなら……ボコるぞ?」
ゴキリ、と拳を鳴らす提督。
「ちょ、darling流石にそれは……」
相手の身の危険を感じて金剛は止めようとするが、
「出来る物ならどうぞ。ただし、貴方の様な中年に負けるつもりはありませんが」
若いから故の驕りか、はたまた本当に提督の事を知らなかったのか。とにかくこの若い兵士は提督の堪忍袋を自ら引きちぎったのである。
「そうか……なら死んどけや」
相手が構える間もなく、左足でのケンカキック一閃。振り上げられた足は兵士の胸元を確りと捉え、大本営を囲う壁に磔にした。その際、足と壁にサンドされたせいで兵士の肋骨は複数本が砕け、その破片が内臓の幾つかを傷付けていた。
「ごほっ……!?」
息が詰まった上に血が込み上げて来て吐き出す兵士。その吐き出した血反吐が、提督のズボンを赤く汚す。
「お〜お〜、折角挨拶の為だけに制服着てきたってのに……汚れちまったじゃねぇか……よっ!」
左足で兵士を抑えつけたまま、抑えつけている足をグリグリと動かす。それだけで折れた肋骨が体内で蠢き、更なる激痛を与えている。
「何の騒ぎで……って、金城提督!?」
「よ〜ぅ、後藤課長。元気?」
騒ぎを聞き付けてやって来たのは、横須賀大本営庁舎の守りを任されている後藤課長。昔一時期だけ整体師として提督が横須賀に居た頃の常連客でもあり、かなりの古株である。
「な、何でこんな事に」
「いやぁね?ちっと横須賀に野暮用があったもんだから、ウチの鎮守府の艦隊の娘らと来たワケよ。そしたら一応顔出せってジジィにも言われてたからさぁ、顔出しに来たのさ。そしたらこのあんちゃんがね?通せないってゴネるもんだからさぁ……ちぃっとばかし『教育的指導』って奴をね?」
「そ、それは……」
「そもそも、天下の横須賀大本営の門前を任された守衛が俺の顔を知らない
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