第一章
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夏に来ない訳
東京の渋谷でアイスクリームの店を経営している藤井満里奈はこの時店員を募集していた、それでだった。
面接に来た氷上雪子に対してこう言った。
「それなら明日からね」
「このお店で、ですね」
「働いてもらうわね」
「宜しくお願いします」
見れば肌は雪というよりかは氷の様に透き通っていて髪の毛は銀色で腰まですらりと伸びている。目は赤く色素がない感じだ。和風の顔立ちで背は高くモデルの様だ。白いスーツが実によく似合っています。
「これから。ただ」
「ただ?」
「私出来ればです」
雪子は満里奈に申し出た、満里奈は背は一五八程で目も顔も丸い。黒髪はショートにしていて口は大きめで歯は白い。胸はあまりないがスタイルは中々だ。
「ここに寝泊まりさせて欲しいのですが」
「ここで?」
「はい、冷凍庫の中で」
「えっ、冷凍庫の中でって」
そう聞いてだ、満里奈は驚いて言った。
「そんなとこで住めないでしょ」
「私は住めます。実は夏はシベリアで暮らしている位で」
「シベリアって」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「出来ればです」
「冷凍庫になの」
「暮らしたいのですが」
「それは無理よ」
絶対にとだ、満里奈は雪子に答えた。
「貴女もお家があるでしょ」
「津軽、青森の方に」
「また寒いところね」
「こちらにいいお仕事があると聞いたので」
それでというのだ。
「来ました」
「そうなの」
「はい、冷たい職場だと」
「それはね」
その通りだとだ、満里奈は雪子に答えた。
「うちはアイスクリーム屋だから」
「ですから」
それでというのだ。
「来たのですが」
「青森からなの」
「はい、ですから」
「凄いわね。けれどね」
「冷凍庫にはですか」
「とても暮らせないわよ、人が暮らせる場所じゃないわ」
満里奈は人間の常識から話した。
「とても」
「それでは」
「住む場所はアパートかマンションでね」
そこでというのだ。
「暮らしてくれるかしら」
「そうですか」
「ええ、住み込みは嬉しいけれど」
すぐに働いてくれる、それでだ。
「そこはね」
「無理ですか」
「ええ、気持ちだけ受け取っておくわ」
「それは残念です、では」
「では?」
「冬は大丈夫ですが」
それでもとだ、雪子は満里奈に話した。
「春と秋はかろうじてで。夏はです」
「アイスが一番売れる季節よ」
理由は言うまでもない、暑いからだ。この季節本当にアイスは飛ぶ様に売れる。まさに店にとって?き入れ時だ。
「その時にはなの」
「暮らしていけなくて」
「暮らしていけない?」
「はい、私は」
「その時期はどうしてるの?」
夏はとだ、満里奈は雪
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