第9話「烏賊と海竜とイヤな奴」
[1/21]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ゴールデンウィーク前日の今日。
三連休に心を躍らせる生徒達が、いつも以上に賑わいながら登校してくる。
俺も連休は楽しみだが、この前の戦いでクラブギルディが言っていた通りこういう休日には、人が集まる場所を狙ったエレメリアンの出現率が上がるだろう。
愛香は特に気にも留めた様子はないし、トゥアールもいつも通りなんだけど、やっぱりこうも頻繁に出現すると気を張らずにはいられなくなる。
……そして俺の隣には、さっきから賑やかな生徒達とは反対に、何かを考え込んでは溜め息をつくヒロ兄の姿があった。
「ヒロ兄?おーい、ヒロ兄〜」
呼びかけても目の前に手を翳しても反応しない。
またいつもの癖だ。ヒロ兄は、何か一つの事に集中してしまうと、一点集中しすぎて他の事に気が回らなくなってしまう癖がある。
肩でも揺すらないと反応してくれないだろう。
「ヒロ兄、聞いてるか?」
「……ん?あ、ああ。なに?」
左肩を揺するとようやくこっちを向いてくれた。
疑問形って事は、やっぱり何かに集中していたのだろう。
「なに?じゃなくてさ、どうしたんだよ?」
「いや……ちょっと考え事を……ね」
「考え事って?」
「まあ……その…………色々」
やっぱり何かを考える事に集中していたのか。
でも時折首を横に振ったり、溜め息までついて何を考えているんだろう?
「なあヒロ兄、さっきからどうしたんだ?」
「いや、別にそこまで大したことじゃ……」
やっぱり様子がおかしい。何か抱え込んでるような気がする。
「俺でよければ、相談に……」
「そーじ!」
突然愛香に呼ばれ、振り返ろうとしたら肩を引っ張られた。
「な、何すんだよ!?」
「そーじじゃ無理よ。ヒロ兄の相談に乗るのはね」
「なんで愛香にそんな事が言えるんだよ?」
「あ〜、こればっかりは私も同意見ですね」
トゥアールまで……。よく見たら口元がすっごいニヤニヤしている。
「そーじ、ヒロ兄の悩みがなんだか分かってないでしょ?」
「そうだけど…………そう言う愛香とトゥアールには分かるのか?」
「「当然よ(もちろんです)」」
即答されてしまった。
「え?なんで分かるの!?」
「やっぱり分かんないわよね……」
愛香の表情に少し影が差しているような……。
「仕方が無いので教えてあげます。千優さんを今、悩ませているのは……ズバリ、恋煩いです」
「こ、恋煩い…………って、ヒロ兄g」
叫びかけて、愛香の手に口を塞がれた。
「声が大きいわよ!」
「ご、ごめん……。でもヒロ兄が誰かに恋してるって事か!?」
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ