第9話「烏賊と海竜とイヤな奴」
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お嬢様だ。本当なら、俺より相応しい男がいるだろし、誰だって慧理那の隣に立ちたいだろう。
「……だが、それは最終的には慧理那が決めることだろう?」
……自分でも自然とこの言葉が、口をついて出たことに驚いていた。
「釣り合うとか釣り合わないとかじゃなくて、たとえ立場が釣り合わなくても、他人から見てお似合いでなくとも……ただ、お互いが相手を好きでいて、一緒にいたいって思っているのなら……それが理想のカップルってやつなんだと、俺は思う」
「……分かってるじゃん」
俺が言い終わると同時に、宮ノ下は満足そうな表情で頷いた。
「なら、それをちゃんと会長本人に伝えてきなよ。もう認めてるんでしょ?」
「ああ……いつになるかはまだ分からないけど。絶対に伝えるよ」
「う〜ん、本当なら放課後までにって言ってやりたいところだけど、一部が荒れることも考えると好機は見計らった方がいいか」
バレたら校内中の男子が暴動を起こしかねないし、女子に陰で叩かれる可能性もあるからなぁ。
でもきっと、必ずこれは果たさなくてはならない。
今の俺にとっての大いなる使命グランドオーダーと言えるだろう。
「あ、そろそろ教室戻らなきゃ」
気が付けば残り時間はあと5分でHRだ。
「じゃあ、私はこの辺で。それと生徒会への挨拶は……まあ頑張れ」
宮ノ下はいそいそと教室を出て行った。
□□□□
昼休み
四時限目の授業が終わり、昼休みになった。
お嬢様もそろそろお昼、そしてランチミーティングだろう。
授業中は私も教師の仕事で離れているが、昼休みにはまたお嬢様の隣へ戻らなくてはならない。
それに、お嬢様にお弁当も渡しておかなくては。
教室前を通りかかると、お嬢様はまだ席に座っていた。
「お嬢様、生徒会のミーティングだったのでは?」
「………………ッ!み、尊?」
私が来たことに、たった今気づいたご様子……何か考え込んでいたように思えるのですが……。
「お嬢様、なにかお悩みでも?」
「……尊になら……話していいかも知れませんわね」
どうやら、他人には言えない悩みらしい。
「では、人に聞かれない場所まで……幸いまだ少し、時間はありますので」
「……はい」
この時間帯、人が寄り付かない場所といえばあそこだろう。
お嬢様を連れて、部室棟へと歩いて行く。
そう、観束たちの部室前なら、幽霊の噂もあるから生徒たちは寄り付かない。
「それで、何をそんなにお悩みなのですか?」
「じ、実は……」
□□□□
昼休み
購買部には買い弁派の生徒
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