第9話「烏賊と海竜とイヤな奴」
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る者だけ。だから知ったかぶりやにわか者を見定める為に、質問をすることにしているんだけど……」
「……なるほど。私は試験で落ちた、と言う事か」
「副会長の場合、知ったかぶりとかにわかとの選別、って言うよりは、やる気の確認みたいなものかな?生半可な覚悟ではついて来られないからね」
野村副会長は生徒会の中でも真面目な人間の模範と言える、と聞いている。特撮好きではないと仮定した場合、起きていてもニチアサは見ていないタイプの人間だろう。
変身ポーズを真似る、そしてそれを極めようとするということは、ヒーローへの憧れがある事が前提だ。そうでもない人がやっても続きはしないし、恥ずかしいだけだろう。
「そうか……」
残念そうな顔で俯く副会長。
まあ、こういっちゃ悪いから言わないけど、慧理那のファンである生徒達を見ていて思うのが、「可愛くて優等生なアイドル的生徒会長」という偶像として慧理那を崇拝している、というかそういった面しか見てなくて、誰も慧理那の本質を見ていない様な感じがするんだよな……って、何を考えてるんだよ俺は。
確かに親友で弟子で、今や気になる異性だけどさ、そこまで深く慧理那を理解出来ている訳でもないだろ、俺。
とにかく、慧理那を愛でるためだけに弟子入りされても困るし、そんな事をしては弟子達に合わせる顔がない。
副会長は自重しているタイプらしいけど、ここで認めて他のファンに形だけの弟子入り志願されても俺は嬉しくないので、敢えて断るとしよう。
「まあ、1度見てみればいいんだよ。そして少しでも彼らヒーローたちに憧れを抱いたら、また声かけてくれるかな?」
「…………ああ。そうだね……」
それでも、副会長も特撮愛に目覚めてくれれば、きっといい友達になれるかもしれない。
気長に待ってあげようじゃないか。
と、ここでヒーローフォンからエレメリアン出現のアラームが鳴り響く。
「おっと、そろそろ用事だからこの辺で失礼するよ」
「ああ、また休み明けにね」
急いで置いていた鞄を持つと、全力で部室へと走る。
さあ、部活の時間だ!!
□□□□
「まったく…………なにが彼らに少しでも憧れを抱いたら、だよ。笑いすら浮かばないね……」
生徒会室から走り出ていく千優を影から見ながら1人、誰にも聞こえないように呟く。
僕の本性を悟られれば警戒されるだろうからね。
しかし、それでも僕の気に触る事に変わりはないし。
これから先、どうやって彼を貶めるか考え、身を震わせる。
先日は見ているだけだったが、今日、実際に接してみて確信した。仲足千優、あいつが僕の敵……会長を誘惑する悪魔の正体……。
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