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ギャルの林檎
第六章

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「どうかってね」
「コクってくれたんだな」
「そういうことよ」
「コクられた感じしないけれどな」
「それでもよ、それでよかったら」
 朋美は或人に自分のペースでさらに言った。
「林檎受けてくれる?」
「それでか」
「そう、食べてくれる?」
「お前も何だかんだで頑張ったしな」
 舞台の芝居だけでなく作業にもだ、朋美はその外見とはうって変わって確かに頑張っていた。或人もそれを見ていた。
 それで悪い感じ、前から派手とは思っていても人間としては悪くないとは思っていてそれでだったのだ。
 微笑んでだ、朋美に話した。
「俺でいいんだよな」
「いいから誘いかけてるのよ」
「そうだよな、じゃあな」
「林檎をよね」
「くれるか」
「どうぞ」
 朋美は笑顔で応えてだ、そしてだった。
 或人にそれを差し出しそうしてだった。
 或人もそれを受取った、その後は二人で食べた。或人はその林檎を一口食べて味わってから朋美に言った。
「美味いな」
「そうでしょ」
「ああ、そっちの林檎もだよな」
「津軽産だけはあるわね」
「太宰のな」
「太宰がこの林檎食べてた感じはしないけれど」 
 イメージとして湧かないというのだ。
「けれどな」
「それでもよね」
「美味いな」
 実際にというのだ。
「この林檎も」
「そうよね、じゃあね」
「これからな」
「宜しくね」
「ああ、まあヘンゼルとグレーテルだから林檎じゃないけれどな」 
 それでもとだ、或人は言った。
「お菓子の家だけれどな」
「それでもいいでしょ、魔女は魔女だし」
「細かいところはいいな」
「そうでしょ」
「じゃあ一緒に食べるわよ」
「それじゃあな」
 二人で話してだ、そのうえでだった。
 或人と朋美は二人で林檎を食べ付き合う様になった、付き合った朋美は一途で親切であり或人も優しく明るく二人はいいカップルになった。文化祭の林檎からはじまった交際は二人にとって実にいいものだった。


ギャルの林檎   完


                    2020・4・20
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