第四章
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「そこに行くな」
「そうするのね、あたし就職のつもりだけれど」
「そうか、頑張れよ」
「うん、今もコンビニでバイトしてるし」
実は店員としてはちゃらちゃらしている外見でも商業科らしく接客態度はいいし店の仕事もわかっている、朋美の長所がよく出ていると言われている。
「就職してもね」
「頑張っていくんだな」
「そのつもりよ」
「そうなんだな」
「そうそう、それで林檎ね」
朋美はまたこちらの話をしてきた。
「あたし思うけれど」
「それはなんだな」
「そう、楽園にあって知恵を授けてくれて」
そしてというのだ。
「アダムとイブをずっと一緒にしてくれた果物じゃない?」
「それ楽園にいてもだろ」
「そうなる?」
「あの二人ずっと一緒だろ」
「じゃあ林檎食べて悪かったのかな」
「キリスト教だとそう言われてるだろ」
「そうなのね、何かあたしそこが全然わからないけれど」
朋美にしてはそうだった。
「馬鹿だから?」
「お前そこまで馬鹿じゃないと思うぞ」
「そうかな」
「ああ、さっき白雪姫とヘンゼルとグレーテルごっちゃになってたけれどな」
それでもというのだ。
「赤点も取ってないだろ」
「それ位の勉強はしてるよ」
朋美自身もそれは同じだ。
「赤点取ったら後は面倒だから」
「そう考えるだけ馬鹿じゃないだろ」
「そうなのね」
「ああ、とにかくお前馬鹿じゃないからな」
だからだというのだ。
「わからなくてもな」
「キリスト教のこのことが」
「いいだろ、っていうか林檎って言っても色々考えられるんだな」
「食べて美味しいし身体にいいしね」
「そのこともあってか」
「面白い果物よね」
色々考えられる、というのだ。
「言われてみればね」
「それもそうか、それで買った林檎はか」
「文化祭終わったらね」
その時にとだ、朋美は或人に明るく笑って話した。
「食べようね、青森の林檎買って来たよ」
「そっちのか」
「津軽、太宰治のね」
「ああ、あの人の出身津軽だったな」
「そこの林檎よ」
「食ったら太宰喜ぶか?」
「太宰と林檎ってあまり連想しないけれどそうじゃない?」
こんな話をしつつだった、朋美は或人と共に今は文化祭の準備をしてだった。お菓子も食べていった。そして舞台では。
魔女の役を好演した、悪そうでそれでいて愛嬌のある魔女が好評だった。それで声援を受けて幕を下りてからだった。
朋美は裏方だった或人のところに来て笑顔で言った。
「終わったね」
「ああ、成功だったみたいだな」
「大成功よ」
舞台を観ての言葉だ。
「それはね」
「それは何よりだな、じゃあな」
或人は朋美の言葉に笑顔になった、それでこう彼女に言った。
「もう服着替えてな」
「それでって
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