第四章
[8]前話
「確かに」
「だからだ」
「それで、ですか」
「これはカムイ達の決まりだ」
「よい行いにはよいものを」
「悪い行いには悪いものを、それでだ」
カムイ達の中のこの取り決め故にというのだ。
「そうなる、ではな」
「これからは」
「わしはカムイとして魚達を司りな」
「それぞれの行いに応じてですね」
「漁をもたらそう」
「わかりました」
「そのことを伝える為に夢に出て来た」
カムイはシャクインに笑って話した。
「このことはな」
「はい、アイヌの者達に伝える」
「そうしてくれ、よいな」
「それでは」
シャクインも頷いた、こうしてだった。
カムイはシャクインと別れの挨拶を交えてその後で姿を消した、そこで夢は終わり。
シャクインは目覚めるとカムイとの約束通りアイヌの者達に夢のことを話した、その話を聞いてだった。
アイヌの者達はそれはという顔になって口々に言った。
「そうなのか」
「そうなったのか、あの草人形が」
「カムイになってか」
「わし等の漁を司ってくれるか」
「そうだ、だからな」
そうなったからとだ、シャクインはさらに話した。
「これからはな」
「よい行いをすることか」
「そのことを心掛けることか」
「いつもそうすることか」
「それが大漁につながるのだからな」
こう言ってだった、シャクインはアイヌの者達にこの話を伝えた。そうしてアイヌの者達は善行を心掛けミンツチカムイが常に大漁をもたらしてくれる様にした。アイヌの人達に伝わる古い話の一つである。
ミンツチカムイ 完
2020・2・22
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