第五章
[8]前話
「黒くなっていって」
「それでね」
「あと少しで」
「凄いものが見られるから」
「皆既日食の中でも凄いもので」
「そう、それがね」
まさにというのだ。
「愛生ちゃんに一番見せたいものなんだ」
「じゃあこのまま」
「見ていこうね、食べるものもあるし」
「そうね、お弁当はもう全部食べたけれど」
「果物はまだあるし」
「アップルティーもあるから」
それでと話してだ、二人は。
甘いものを飲んで食べつつそうしつつ皆既日食を見ていった、すると。
太陽の中の黒いものはどんどん大きくなりそうして日差しも弱まっていき太陽はもう黒い部分の方が多くなっていた。そして。
太陽と月が完全に重なり合った時にだった。
月の黒い部分から太陽の光が見えていた、世界はもう夜の様に暗くなっていて空も同じだったがその中で。
その光を見てだった、愛生は言った。
「これが」
「うん、今日ね」
友樹はその愛生に横から話した。
「愛生ちゃんに一番見せたいものだったんだ」
「そうだったのね」
「そう、それでね」
友樹は愛生にさらに言った。
「どうかな」
「皆既日食は知ってたわ」
愛生はこう答えた。
「けれどね」
「それでもなんだ」
「見たのははじめてで」
「それじゃあ」
「今のもね」
「これはダイアモンドリングっていうんだ」
友樹は名前も話した。
「皆既日食の中で完全に重なり合った時になるんだ」
「奇麗な名前ね」
「そうだよね、これがね」
「私に一番見せたいもので」
「満足してくれてるかな」
「素敵ね、滅多に観られないわよね」
「皆既日食自体がね」
まさにというのだ。
「それでね」
「ダイアモンドリングは」
「そのクライマックスとも言えるもので」
「特にインパクトあるわね」
「そうだね、満足してくれたみたいね」
「また観たいわ」
「僕もだよ、じゃあ今度皆既日食があったら」
友樹は笑顔で話した。
「その時にね」
「ええ、また一緒にね」
「見ようね」
二人でこう話しつつ皆既日食のそのダイヤモンドリングを見た、そして。
皆既日食が終わってそのうえでだった、二人はピクニックを終えて。
帰路についた、そこで友樹は愛生の手を握った。愛生も握り返してそのうえで二人仲良く帰っていった。
ダイヤモンドリング 完
2020・2・20
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