三十八 名前
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俺なら一日で終わるだろう」
「そうか」
身長差はあれど、その実力はどちらも折り紙つきだ。
ナルトと気兼ねなく会話するイタチを、カブトは人知れず睨みつける。
カブトの視線を背中に感じたナルトは、彼の存在をイタチに勘付かれないように話題を振った。
「チャクラ量が普段より少なく見えるが?」
「ああ。先ほど、大蛇丸にね…」
「またか」
うちは一族の『写輪眼』を目当てに度々奇襲してくる大蛇丸を蹴散らしたばかりのイタチの溜息雑じりの返答に、ナルトは面倒くさそうに頭を掻いた。
「なら、お前は飯でも食って待っとけ。任務は俺がする」
「そういうわけには…」
「大蛇丸にチョッカイかけられたばかりなんだろ」
一蹴したとは言え、大蛇丸を相手にしたとなると多少のチャクラは使う。万全の状態ではないイタチに、ナルトは小さな布を投げた。
布に包まれたソレを見て、寸前まで遠慮していたイタチの頬が僅かに緩む。
「具は?」
「……昆布だよ」
渡された握り飯をほくほくと懐に入れるイタチに、ナルトは呆れた口調で溜息を零した。
「お前、ほんと…昆布のおむすび、好きだよな」
ナルトと並んで歩くイタチの背中を、木陰から睨んでいたカブトは、やがてその場から立ち去った。
イタチに返り討ちにされたということは現在、大蛇丸は負傷している。その怪我を医療忍術で癒し、大蛇丸の警戒心を緩ませ、その懐に飛び込む良い機会だ。
イタチへの嫉妬はあれど、最優先事項を忘れないカブトは自身を大蛇丸に信用させるべく、動き始めた。
大蛇丸が『暁』から抜け、音隠れの里をつくり、『木ノ葉崩し』を起こす中、カブトは彼の従順な部下として振舞い続ける。
久方ぶりの木ノ葉の里で中忍試験を受けた際に、大蛇丸からもたらされた忠告に、カブトは内心せせら笑った。
「ナルト君にちょっかい出すのは止めておきなさい。お前じゃ彼には敵わないわよ…」
その台詞に、何を今更、とカブトは失笑する。
大蛇丸以上に至高の存在であるナルトに自分が敵うわけがない。
そんな事実、とっくの昔から知っていた。
そして、中忍本試験が開幕される数日前。
『木ノ葉崩し』をするにあたって、砂との密会を木ノ葉の忍びたるハヤテに覗かれたことを大蛇丸に非難され、危うく命の危機に瀕したカブトは、急に現れた敬愛する本当の主の声に戸惑う。
砂との密会を覗かれたことは自分の失態だ。ナルトのお手を煩わせるわけにはいかない。
大蛇丸の手前、嫌悪するふりをしてカブトはナルトを退けようとする。だがナルトは素知らぬ顔で、大蛇丸と真夜中のお茶会と称して自白剤入りのお茶を飲み干した。
即効性の強力な自白
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