三十八 名前
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
きた大蛇丸に関して、カブトはナルトに伺いを立てる。
“根”から抜け、木ノ葉から抜け、『暁』に入った大蛇丸は、カブトの生存を喜んでいた。
てっきりノノウに殺されてしまったのだと思い込み、彼女を糾弾し、死に追いやったのも、カブトの才能が惜しかったからである。
故に、カブトが生きて、更にサソリの部下として『暁』に入ってきた事は、大蛇丸にとっても都合が良かった。
「サソリのことをスパイしろとの話ですが…」
高い木の上。
幹に背を預け、己の瞳と同じ青い空を見上げていたナルトは、傍らの木陰から投げられた言葉を耳にして、視線をそのままに口を開く。
「そうだな…大蛇丸はいずれ『暁』を抜けるだろう。その時に、何をしでかすかわからないからな」
「承知いたしました」
言外に、大蛇丸のほうへつけというナルトの言葉を即座に悟り、カブトは了承の意を示す。
従順にこうべを垂れるカブトを、ナルトは胡乱な眼つきで見遣った。
「何度も言っているが、俺に従う必要など無いんだぞ?『 』」
「いいえ。僕の主人は貴方だけです。本当の名を呼んでくれる貴方だけが、僕の主だ」
二人きりの時は、カブトという名ではなく本当の名を呼んでくれるナルトに、感謝の念と共に、再び頭を下げる。
自身よりもずっと背の高いカブトを、ナルトは見上げていたが、やがて深く溜息をついた。
「………好きにしろ」
素っ気なく答えると、ナルトはカブトに忠告めいた言葉を投げた。
「だが、俺のことは表向き、嫌悪していろ」
「……わかっています」
ナルトとカブトの繋がりを周囲に悟られるわけにはいかない。
渋々承知するカブトを見上げ、ナルトは面倒くさそうに眼を細めた。
いい加減、周りに会話を聞かれる危険性を考慮せねばならない。
自分と相手にしか声が聞こえない【念華微笑の術】を編み出したナルトは、カブトにその術を教えると、やにわに木からひょいっと下りた。
「ナルトくん。仕事だ」
「ああ」
高所からいきなり降下したにもかかわらず、音もなく地面に降り立ったナルトは、さりげなく、カブトの姿が見えない術を施して、声をかけてきた相棒の許へ向かう。
その効果のほどは、どれほど瞳術に優れている者でもなかなか気づけない。その術を降下中に施した事からもナルトの力量が窺えた。
術で姿が見えないように施されているとは知らず、カブトは木陰に潜みながら、ナルトの傍らにいる人物を睨みつける。
うちはイタチ。
カブトと、そして大蛇丸と同じく木ノ葉から抜け、若くしてその才能を『暁』に見せつけている青年。
ナルトの相棒であるイタチは、『暁』の黒衣を翻して隣に佇む小柄な子どもを見下ろしている。
「長期任務か?」
「いや。君と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ