第27話 新しい夢
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防体制の確立を通じて、国民的な英雄を作り出す。そして政界に送り込むしか手段はないでしょう」
「候補者は?」
「今の所3名です。本命でブルース・アッシュビー、対抗でフレデリック・ジャスパー、ウォレス・ウォーリックの2名。アッシュビーに政権を取らせ、亡命派の融和政策と地方星系へのインフラ投資を進めさせる形が理想です」
「最後の質問だ。ターナー君、君がリーダーになろうとは考えないのかな?私が見る限り、君も十分本命足りえると思うのだが......」
「閣下、彼らを私の理想を実現すべく引き込んだのです。たとえ国民的な英雄になったとしても、反対派は生まれるでしょう。時には手段を選ばずに足を引っ張る者も。一歩下がって彼らの背中を守る、時には泥をかぶる存在も必要でしょう。それが私の役割ではないかと......」
「君がそう考えるなら、無理強いはしない。ただ、不測の事態は起こるものだ。亡命者を妻とし、辺境出身の君は、言うまでもない事だが、一定の支持を集めやすい身の上だ。そうなる必要が出てきた時の為に、準備しておく事を薦めておこう」
その後は私の話をする番だった。暴君だった父、同志のように感じていた共和主義者。帝国の膿となっている貴族達の醜さ、それに絶望した同志たち。息子のような年齢の彼に、私は赤裸々に自分のことを語った。思い返せば気恥しいが、自然に話せたのは彼が聞き上手だったこともあるかもしれない。
「理想の国を夢見て亡命したが、残念ながら同盟の現状はそれには程遠いものだった。このまま情報の伝達役として、鬱屈としながら伝書鳩の真似事をするしかないと思っていたが、君の卒論を読んで思ったのだ。自分が生きている間に結果は出ないだろうが、大きな夢をもう一度見られるのではないかとね」
彼は黙って話を聞いていた。私が人となりを知りたがった様に、彼も人となりを見極めていたのだろう。私の独白が終わり、お互いに紅茶のカップを口元に運びのどを潤す。
「同盟での閣下の最初の同志が私という事になりますね。もう失望する事が無いように勤めさせて頂ければ幸いです」
どうやら認めてもらえたようだ。彼が頭を下げる。
「君の任官先は私の分室になるだろう。接した情報を使って同期たちの栄達を支援すればよい。彼らが功績を上げれば、君の功績にもなるだろう。それに少なくない予算もある。常識的に考えれば君たちが軍上層になるまでに20年はかかるだろう。それまで手をこまねいている必要はない。同盟の財布を大きくするために出来る限りのことをしてみたまえ。その中で君と縁のある商会に多少の利益を流しても構わん。それ位は駄賃として出す位の器量はあるからな。少なくとも10万人規模の収容所を作る位の権限は持っている」
「あの件は閣下のお力添えでしたか。私からお礼を申し
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