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カーク・ターナーの憂鬱
第23話 ダンスパーティー
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いって考えるらしい。
ただ、当然嫉妬もするんだけど、そう言うのは淑女として『はしたない事』ともされているから、複雑だと吐露していた。ターナー君、音大生の私が言うのもあれだけど、見た目だけの性悪も結構いるの。お願いだからクリスティンが悲しむような事態にはしないでね......。今の状況なら大丈夫そうだけど......。

そんな事を思いながら一息ついて、アルフレッドとダンスホールに向かおうかと言う頃合いで、事件が起きた。アッシュビー君と談笑していた女性が、ターナー君の傍に行き、パートナに誘ったのだ。

「よりによって、アデレードじゃない......」

「ん?アデレード?」

「話したじゃない、アッシュビー君を狙ってて、見栄えもいいし性格もまずまずだけど、目的の為には手段を選ばない。自分の恋人は紹介したくないタイプって」

アルフレッドとの肩を強めに叩きながら、視線はダンスホールから外さない。曲が流れ始めたが、やけに密着してる。あっ、アデレードが耳元でターナー君になにかささやいてる。駄目よ!ターナー君。クリスティンを泣かせちゃダメ!

「アデレードって娘が、カトリナの言ってた通りの子なら、きっと心配はないよ。カークのあの表情は本気で困ってるし、たぶんよそ見をしてるブルースへの当てつけじゃないかな?カークから貰った男女の機微って本に、そのまま書いてあった気がする」

横から何か聞き逃せないセリフが聞こえたけど、何年も私の気持ちに気づかなかった鈍ちんの意見は参考になるんだろうか?それとも人の事なら良く分かるの?それはそれでなんか納得できない。曲が終わるとまたアデレードはターナー君の耳元でささやいて、アッシュビー君の方にゆっくり戻って行った。
アッシュビー君もおそらく嫉妬しているんだろう。不機嫌な表情だし、ターナー君も困った表情で、候補生たちの一団に混ざって行った。こんなことするから、『自分の恋人を紹介したくない女』って言われるのよ。来年、クリスティンとアデレードが同じ場になると思うと、正直頭が痛い。

「まぁ、なるようになるよ。そろそろ僕たちもいこうか?」

そう言いながら笑顔で手を差し出してくるアルフレッドに応えて、ホールに向かったけど、気が晴れるまで3曲も必要だった。自室に戻り、部屋着に着替えた頃合いで、男女の機微って本についてアルフレッドを問い詰める必要がある事に気づくのだが、それは別の話だ。
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