第23話 ダンスパーティー
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...」
私たちが目線を向ける先はダンスホールだ。音大主催のダンスパーティーらしく、ダンスの演奏も音大生が担当する。私の担当は開始から1時間。そのあとアルフレッドとパーティーを楽しむつもりだったけど、私が演奏している時から、ずっと入れ替わり立ちかわりでパートナーを求められるターナー君が目に入り、正直罪悪感を感じていた。
彼のダンスは確かにパートナーを引き立てる。ガサツな所があるジャスパー君の発言だから、正直疑っていたけど、ダンスに関しては彼の言は正鵠を得ていた。だからこそ申し訳ない。
ターナー君と踊って、ある意味予行練習を終えてから、本命の所へ行く流れが出来ていた。ターナー君が怒ると怖いのは私も良く知っている。圧力に負けてアルフレッドにお願いしたけど、彼の怒りの矛先が自分の恋人に向いたら......。
「大丈夫だと思うよ?今回のお詫びに来年からクリスティン嬢と同伴するみたいだし、招待状はカトリナが何とかするんでしょ?」
「うん。そっちは何とかなるけど、ここまであからさまだとなあ。来年、婚約者が同伴するってなったら、簡単にはパートナーをお願いできないだろうし、それはそれでいろいろ言われるかも......」
「音大も色々大変だね」
そう言いながら近くのテーブルの椅子を引いてくれるアルフレッド。席に座ってシンデレラでのどを潤す。アルフレッドはサラトガクーラー。会場に用意されたバーコーナーで予め頼んていてくれたんだろう。キレイに取り分けられたオードブルに手を伸ばして、空腹を和らげる。こういう細かい仕事は、本当に得意なのよね。アルフレッドは。
「ターナーに関してはそこまで気にしなくても大丈夫だよ。ほら、男性は女性の3倍練習しないと上達しないっていうしね。本命と公式の場で踊る前に練習できてよかったって流してくれると思うよ?さすがに来年の事は、音大で対処してほしいけど」
「そうよね。さすがに婚約者同伴ならみんな我慢してくれるわよね。クリスティンには私からも状況を連絡したの。結構複雑な心境だったし、何か埋め合わせしないと......」
ボヤく私を慰める様に、アルフレッドが肩に優しく触れる。内緒にしているが、風貌も優し気なアルフレッドも実は音大で人気だ。演奏している間、アルフレッドはずっと演奏に意識を向けていたけど、私の存在が無ければ、パートナの依頼は彼にも来ていただろう。ターナー君の婚約者のクリスティンとは私も友達だ。そしてクリスティンにとって、なんでも話せる同級生の女友達は私くらい。
ターナー君にダンスパーティーに参加してほしいとお願いする前に、クリスティンにも事情を説明した。帝国風に言うと、自分の夫や婚約者がダンスの名手と見込まれるのはむしろ名誉な事だし、よく言ってベタぼれの相手が、他の女性の目に映るのもまあ無理はな
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