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カーク・ターナーの憂鬱
第23話 ダンスパーティー
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ってすれば、ターナーと同期で親しいローザスと言う候補生の恋人であるカトリナ嬢が、音大に在籍している事はすぐに判明しただろう。
お願いと言う名の圧力が、カトリナ嬢にかけられる。恋人からの依頼を、もともとお人好しのローザスが無視出来るはずもない。ターナーからしても、なにかと同期間の問題を処理しているローザスを無下には出来なかった。

ただ、ターナーとしても、ダンス講師役をする為だけにわざわざ時間を割くつもりはなかった。コミュニケーションに難ありのファンの改善の場にしようと考えたのだ。ダンスがそこそこ位のレベルで、男性側が話題を提供しなくても大丈夫な、気の優しいパートナーを紹介することを交換条件とした。これだけならファンにとっては余計なお世話だったかもしれない。ただ、放課後にターナーが女性役を務めてダンスの特訓をしたのだから、大したものだ。その成果もあって、ファンはこのパーティーを楽しめている。
そしてその特訓の光景を笑ったジャスパーに怒ったターナーは、謝罪の条件に『女性役でベルティー二と踊る事』を条件にした。士官学校の一室は笑い声に包まれたし、なんでも器用にこなすウォーリックが、面白がって隠し撮りをした。その一枚は、二人の容貌もあいまって少数の男性と多数の音大生にとって垂涎の品になっているらしい。それを知った時のジャスパーの顔は、思い出しただけで今でも笑える。

って話がそれたな。ダンスホールの流れの件だ。女性陣の多くはまずターナーと踊り、そのあと3つの流れに分かれる。ターナーで調子を上げた女性陣の多くは、ブルース、ジャスパー、ウォーリックの3人と踊る流れが出来ていた。あの3人はタイプは違うがダンスはうまい。ただなぁ、この流れだとターナーは来年はまた欠席するんじゃなかろうか。担当が誰になるのかは分からんが、ご機嫌を取る必要はあるだろうな。

「そのターキーは私も焼き上げるのを手伝ったんです。そこまで気に入って頂けると頑張った甲斐があります」

「そうなのか。このターキーは絶品だ。いくらでも食べられそうだ」

俺がダンスホールに目線を向けているうちに、最寄りのテーブルでも戦況に変化があったらしい。テーブルの上にはターキーを載せた皿が追加され、小柄な女性が嬉しそうにターキーを頬張る熊を見つめていた。俺の位置から引いてみると、ペットの熊に少女が餌付けしているようにも見える。ただ、ここで声をかけるのも無粋だろう。俺は候補生がたむろしている一角へ足を向けた。少なくともベルティー二にお節介は必要なさそうだからな。


宇宙暦727年 帝国暦416年 12月末
惑星テルヌーゼン ダンスパーティー会場
カトリナ・アルザス

「カトリナ、お疲れ様。良い演奏だったよ」

「ありがとう、アルフレッド。それにしても予想通りと言うべきかしら...
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