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カーク・ターナーの憂鬱
第22話 その頃 船長とオーナー
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に属するエコニアを加えるのは、現段階では採算が厳しいのも確かだ。ただウォーリック商会の働き掛けもあり、既存の人造湖の倍くらいの人造湖を新設する予算が下りた。フェザーンからの帰路に惑星ウルヴァシーに寄港し、船倉の合間に淡水を積み込んでエコニアで下ろす。今は余剰穀物くらいしか商材がないが、いずれは加工肉や酒も商材になるはずだ。そうなれば十分採算がとれる航路になるだろう。

「井上にも少しは借りを返したいしな」

親友でもある井上はエコニアで商店を経営しているが、採算がとりにくい航路は諸々の発送もあと回しにされがちだ。入植時に持ち込んだ農業機械がメンテナンス時期を迎え、エコニア経済からすれば大規模開発が行われるともなれば、メンテナンス部品だけでなく、新規で農業機械の購入も検討されているだろうし、醸造設備も必要になるだろう。住民に寄り添う商売をしている井上商会は、住民たちにヒアリングを行って事前にニーズを取りまとめて、出光商会に発注してくれた。普通に発注したら半年以上かかる物も、事前に取りまとめてもらえれば用意可能だ。
それでも数週間かかるが、今までと比べれば劇的な改善だろう。そしてエコニアがモデルケースになれば、最低減のインフラ投資がされた後、放置されている辺境星域が採算の取れる市場になる。自分たちを介して、星系が発展する。そうなる事で美味しい市場になり、ますます発展する。建国期の商船乗りたちが感じていたやりがいや誇りを、感じられる新興エリアが出来るかもしれなかった。

「士官学校を卒業したら任官だろ。まだ当分里帰りはしないだろうし、どうせならエコニアが発展しすぎてびっくりさせてやりてえな」

「船長、内心が漏れてますぜ」

そう指摘してきた航海長もどこか嬉し気だ。もっとも独立して数年の零細商会が、商船を追加できるほど好調なのが誰のおかげははみんな知っている。恩返しじゃないが、エコニアを発展させてびっくりさせたいって考えているのは、俺だけじゃなかった。

良縁を結んでくれたオレンジ頭の元航海士見習いからは、彼の兄貴分の子供であるタイロン宛の誕生日プレゼントと手紙を預かっている。誕生日プレゼントを届けるのに手ぶらじゃ行けねえ。俺は独立商人風に、情操教育に良さそうなおもちゃを用意してる。トーマスは俺の船に乗る可能性もあったんだ。半分身内みたいなものだ。出来る事はしてやりたかった。前にあったのは半年前だが、赤ん坊の成長は早い。成長しているであろうタイロンに会うのが楽しみだった。



宇宙暦727年 帝国暦416年 4月末
惑星エコニア 井上商会
井上オーナー

「発注して一か月垂らずで納品されるとはなぁ。井上オーナーは魔法でも使ったのかい?」

「ありがとうございます。いやぁ、航海士になったターナー家の、そうそうあのオレン
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