第21話 シミュレーター
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でもなくローザスだ。彼がいれば、大きな問題にはならないだろう。迷惑をかけることになるのは不本意だが、どうせ毎日ランチは食べるのだ。一度くらいは同席してみるのも悪くないかもしれない。私もウーロン茶を飲み干してカップをゴミ箱に投げ入れる。今までに感じた事が無い楽しさを感じた。
宇宙暦726年 帝国暦415年 10月末
同盟軍士官学校 戦術シミュレーター観戦室
ジョン・ドリンカー・コープ
「手堅いファンと2時間の長期戦か。ジョン、どう思う?」
「そうだな。良くも悪くもあいつには得意戦術がないってトコかな?戦術目標によって手を変えるのは俺に似たタイプだが、あちらさんが2枚上手って感じだな。ファンがしっかり準備して手堅い手を打ってくるのは分かっていたはずだ。同じ土俵に乗ってどこまで出来るか試した......。って可能性もあるかな?」
「敢えて相手の得意分野で勝負する。余程の自信があるのか?それとも結果にはあまり興味がないのか?」
ブルースは戦術モニターに視線を向けたまま、あごに手を当てて考えこんでいる。ハイネセンの中等学校でクラスメートになって以来の仲だが、ブルースはずっと首席だった。同年代で適う奴はいなかったが、さすがに士官学校まで首席で入学しちまうとは思わなかった。ただ、やはり世間は広い。こいつが意識する存在が両手で足りる程度でも現れたのだ。
「相手の土俵に立って勝てば、力関係を明確に出来るが......。いや、奴はそういうタイプでもないしな」
士官学校に入学して半年。ブルースが一番意識しているのが、次席で入学したターナーだ。首席のブルースからしたら一番のライバルのはずが、あちらさんはそこまで意識してこない。それだけでもブルースからすると肩透かしを食った感じなんだろうが、戦術シミュレーターで僅差で負けてから、更に意識するようになった。俺からすればターナーは単純に戦術シミュレーターを楽しんでいるだけのような気もするが、それを伝えても納得はしないだろう。
ターナーに僅差で負けた以外は、大勝する事が多い事もあって、戦術評価ではブルースの方が評価点は高い。ただ、敢えて評価を気にしないかのようなターナーの振る舞いが、ブルースには理解できないんだろう。黙ってはいるが、マーキングをして縄張りを主張している狼が、我関せずで縄張りの上を飛ぶカラスを気にする感じだろうか?マーキングし、遠吠えをしてみても、興味深そうに木の上から見ているカラスに、どうしたもんかと悩んでいる感じだ。
もっとも、ブルースが言った通りターナーは学生同士の力関係を気にするタイプじゃない。むしろ教官以上に、接点をもった学生の良さを示している感じだ。弟を励ます兄貴みたいな感じだろうか?そういう意味でもブルースとはかみ合わないだろうな。常に首席だったブルースに
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