第20話 合格発表
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そんな事は考えていなかったが、いつも私を気遣ってくれる婚約者を困らせたくて、思わず言ってしまった。淑女としては、はしたない事なのかもしれないと恥ずかしくなった時には、もう言葉を吐き出した後だった。
「大丈夫さ、その時は三人でまた歩こう。その頃にはもしかしたらユルゲン様にも良いお相手がいるかもしれない。タイロンも大きくなっているだろう。皆でピクニックをするのも楽しいかもしれないな」
そんな言葉を笑顔で返されては、頬が熱くなり何も言えなかった。
「カーク兄さん、僕の良いお相手って誰?」
「そうだな、そういう人が出来たら自然とわかるんだ。そういう人が出来たら教えてくれるかい?」
ユルゲンは『うん』と応じた後、ターナー様と繋いでいた右手を離し、拳を作って差し出した。『約束!』お互いにそう言って、拳をくっつける。
「入学したらお互い忙しくなる。今は穏やかなこの時間を楽しもう」
ユルゲンと手をつなぎ直すと、ゆっくりと歩き始める。まだ冬のテルヌーゼンの気温は低く、寒いはずだったが、ゆっくりと3人で並木道を歩くひと時は、どこか温かかった。夕食はいつもの7人だけでなく、ウォーリック家のウォリスさんも同席された。元旦の際には見事な手品を披露して下さったのだが、首元に遺る3本の赤い線が気になって、この日は集中できなかった。話題にするのは失礼だと思って控えたが、途中で離席したフレデリックさんが、首元に口紅で3本の線を描いて戻ってきたとき、はしたないとは分かっていたけど笑ってしまいました。
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