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カーク・ターナーの憂鬱
第20話 合格発表
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宇宙暦726年 帝国暦415年 1月末
惑星テルヌーゼン 同盟軍士官学校
アルフレッド・ローザス

「それにしてもこんな日くらいは休んでも良いだろうに。カークも付き合いが悪い」

「まぁな。親父もさすがにこんな日くらいは文句はないだろうが......」

僕に並んで歩く、同い年の親友たちは、この場にいないもう一人の親友がこの場にいないことをボヤくように話をしている。ある意味、僕たちの勉強会の講師役もしてくれたカークと、一緒に合格発表を見たいという気持ちも判らなくはない。ただ、ローザス家はともかく、ボヤいている二人の家は、カークが経営しているウーラント商会に出資している立場だ。利益を求める立場のはずが、休む事を求めるのもどこか面白かった。

「入学したら自由時間が減るからね。それにクリスティン嬢の合格発表も今日だから。お昼にウーラント家で見に行くって話だよ。夕食は一緒にとる約束だし、我慢しときなよ」

僕がそう言うと、

「婚約者か、立場的に亡命系からは迎えたくないし、かといってちゃんと立場を立てるまでは婚約するのもなあ」

「うちもそうだな。兄貴たちは亡命系と結婚して、子供もいる。バーラト融和派と結ぶなら俺しか枠がないし、そんな状況で変に恋愛するのもなあ。まあ、アルフレッドにはそういう心配はないだろうが」

ニヤニヤしながらこちらを見てくる二人。矛先が僕に来た。帝国にルーツを持ちながら、同盟の中心地で育ってきた僕にとって、ウーラント商会がオープンした帝国風の料理店は、自分のルーツに触れるようでお気に入りの場所だった。ビジネスで忙しいカークに代わって、悪ガキ2人のお目付け役をする代わりに御代を無料にしてくれた。とは言え一人で行くには敷居が高いので、よく幼馴染のカトリナを誘っていた。そう勧めてくれたのもカークだ。
そして去年のクリスマスに、幼馴染だったカトリナとは、恋人という関係になった。それ以来、『婚約者と恋人』は同席可というルールが出来、今ではクリスティン嬢とカトリナは大の仲良しだ。もちろん、僕たちの弟分のユルゲン君も良く同席する。僕たちと同じく、メープルヒル校に入学し、ハイネセン記念大学を目指している。僕はともかく、フライングボール部のエースとボクシング部のキャプテンの弟分ともなれば、亡命者とは言えいじめられる事もないだろう。

「2人も早くそういう人を連れてきてくれたらとは思うけど、ウォリスみたいなのも困るしね」

「まあ恋愛は自由だからな。他のやつがやると嫌味だが、あいつには変な華がある。ああいうのは様になる奴がやらないと見ていて痛々しいからな。そういう意味でも貴重な人材だ」

「士官学校対策も一緒に励んだ仲だしな。距離を置いてみている分には楽しめる」

そう言いながら笑う二人。僕も一緒に笑ったけど
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