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カーク・ターナーの憂鬱
第19話 青春
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出し、俺達に続くように学習を始めた。こいつは要点を押さえるのがうまい。学習時間は明らかに俺達より少ないはずなのに、直近の模試で合格判定はA。むらっけのあるフレデリックは不得意科目があるし、俺は身体系は強いが、教養系はそこそこ。合格はできるだろうが、まだまだ励まないといけないだろう。

「いつもありがとう。ターナー。そういえばウォリスもこの勉強会に参加したいみたいなんだけど良いかな?」

「ん?ウォリスの成績なら合格するだろう?ただ、会長には恩があるからな。ローザス家が良いなら、俺も賛成だ。なんだかんだ出来るやつだ。刺激になるだろうしな」

ウォリス達とはあの一件以来、変な信頼関係が生まれ、友人関係になっている。ウォリスの取り巻きも含め、ウォーリック商会のボディーガード陣を相手に訓練を倒れるまでさせられた。それだけならもしかしたらターナーを恨む奴もいたかもしれない。ただ、奴も訓練に同席したし、ヘロヘロになってぶっ倒れる俺達を横目に、次の予定があるからと、当たり前の事のように仕事に戻って行った。正直かなわないとみんなが思ったはずだ。
手打ちの儀式じゃないが、数日後にウォリスたちと飯を食べた。言うべきか迷ったが、トーマスさんの話をウォリス達にもした。俺たちはガキみたいに英雄たちの活躍に憧れて士官学校に行くかもしれないが、輝かしい英雄の話の裏で、どの位の戦死者がいるか?俺たちは油断すれば案外簡単に戦死するって。今更だけど、つまらない揉め事をしている時間はない。そんなことをしていれば簡単に戦死するって、あの場にいた連中は思ったんだ。

「ジャスパー、ベルティーニ、今期から黒字になりそうだ。やっと良い話ができてホッとした。ベルティーニ、親父さんへは最終決算まで話すのは待ってくれると助かる」

「ターナー。そんなに簡単に黒字になるものなのか?亡命融和派を支援する意味でも資産はほしい。もっと投資すべきだろうか?」

「ジャスパー。テルヌーゼンの顔役みたいなウォーリック商会に資本参加してもらって、優秀な若手を出してもらった。ベルティーニ家からも腕の確かな職人を紹介してもらってる。こんな恵まれた状況はそうそうないんだ。統計的には、起業して一年以内に90%が廃業する。余計なことは考えないで、今は士官学校対策に集中しておけ。投資はそんなに甘いもんじゃない」

フレデリックは悩まし気だった。経済誌の特集で投資で成功した人物の記事を見たせいだろう。焦る気持ちも分かるが、俺もターナーと同意見だ。バーラト融和派のウォーリック商会が亡命派とのパイプを作りたいという意向もあったから、俺達はターナーから投資話をもらえた。ただ、やろうと思えば亡命系の資本を受け入れなくても、多少の面倒事はあっただろうが、このビジネスプランは動かせたと思う。色々な偶然が重なって、当たりの
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