第19話 青春
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も落ち着くだろう。
こういうことはちゃんとしたほうが良いと思ったので、雇い主兼、将来の義父のウーラント卿に、ちゃんと説明した。持つべきものは誠実で善良な義父だ。二つ返事で、『出来る事はしてあげなさい』と言ってくれた。たださ、隣にいたクリスティンは少し黙ったまま、変に迫力がある視線をこっちに向けて来た。面白く思わないのは分かる。ただな、シーハン嬢とは会ったこともないんだ。忙しくしていてあまり時間が取れずにいるのも分かっているけど、浮気を疑うなよ。あの時は正直少し怖かった。
ローザス邸が見えてきた。あいつらも俺がイラついていると変に気にするし、せっかくの士官学校対策の時間が、効率の悪いものになるのも不本意だ。そろそろ気を静めるか。敷地内にある駐車場に車を止め、助手席に置いておいたバスケットを手に取り、玄関に向かう。これから数時間は勉強に集中だ。余計なことは考えないようにしよう。
宇宙暦724年 帝国暦414年 10月末
惑星テルヌーゼン ローザス邸
ヴィットリオ・ディ・ベルティーニ
「こんばんは、フラウローザス。つまらないものですが、ご賞味いただければ幸いです」
「あら、ターナー君。いつもありがとう。夫も最近はウーラント商会のベーコンの大ファンなの。ゆっくりして行ってね」
挨拶を交わす声が玄関の方から聞こえてくる。しばらくすると足音が、俺達の学習室に近づいてきてターナーが入って来た。俺たちは昼間はメープルヒル校に通っているが、こいつはウーラント商会で働いている。それなのに疲れた素振は見せたことがない。それだけでも大した奴だが、同い年にも関わらず、ウーラント商会のトップで、婚約者のクリスティン嬢の実家、ウーラント家の将来も背負っている。
もともと顔見知りだった事と、俺がジャスパーと親しいこともあって、ウーラント商会への出資話にも参加する事が出来た。亡命派上層部の意向もあって、バーラト系とのパイプが作れずにいた親父からすると、ウォーリック商会という大資本につながりが持て、飼い殺し状態だった職人たちの就職先が増えるウーラント商会からの投資話は渡りに船だったようだ。何かと貴族様方に献金を求められる事もあり、金にうるさい親父が、ポンっと500万ディナール出した事にも驚いた。
ジャスパー家も出資した兼ね合いで、フレデリックと一緒に、投資話の解説を聞くこともできた。フレデリックはあれ以来、経済誌にも目を通している。士官学校に入学して、立場を作ることも勿論だが、亡命融和派を支援する意味で、資金も必要だし、事業に参画する事も必要だ。目指すべき姿が明確になったのか、ジャスパーの表情も明るい。
「やってるな。アルフレッド、今日も差し入れを持ってきた。また感想を聞かせてくれ」
そう言いながらいつもの定位置に座ると、タブレットを取り
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