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カーク・ターナーの憂鬱
第18話 中の上の志
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で治まった。
でもウォリスはかなりの実力者だ。刃物は使わないだろうが、それでも事故が起こるかもしれない。もう割って入って身体を張って時間を稼ぐしかないか......。そんなことを考え始めた所で、見慣れたウーラント商会の社用車が、裏門前に停車し、オレンジ色の髪をした青年が、こちらに向かってくる。

「へぇ、ジャスパー、ベルティーニ。楽しそうだな。任官後、簡単に戦死しないようにとにかく励むって約束したよな?ありゃ嘘か?」

その一言で、さっきまでの覇気はどこに行ったのか?二人は急におとなしくなった。営業をしていたのであろうターナーは、スーツ姿だ。同い年なのにどこか有無を言わせぬ雰囲気があった。

「おい、ウォリス、どこ行くんだ?お前、俺が車を止めたあたりから逃げようとしたよな?」

ターナーの発言を機にウォリスに視線を向けると、先ほどまでいた場所からかなり校舎に近い位置に移動していた。ジャスパーとベルティーニは裏門に背を向けていたから、気づくのが遅れたけど、ウォリスは先に気づいていたんだろう。

「会長が亡命派との関係改善のために、わざわざお前がいるメープルヒル校に、この悪ガキどもを編入させたのはわかってるよな?どういうつもりか会長も聞きたいそうだ。一緒に来い」

そういうとウォリスの襟首をつかんで文字通り連行しだした。

「アルフレッド、ウォリスは早退だ。伝えておいてくれ。それと所詮こいつらなんて悪ガキだ。腕っぷしで勝てないなら口で勝て。ユルゲン様や会長に報告するとでも言えば、おとなしくなるんだから」

右手は誰かさんの襟首をつかんでいたので、左手で僕の肩をポンポンと叩くと、車に向かい、後部座席にウォリスを押し込んだ。

「ジャスパー、ベルティーニ、お前らからも後で話を聞くからな!」

そう言うと、車は走り去って行った。なんだろう、嵐が来るかと思っていたら、隕石が落ちてきて嵐なんてどうでもよくなった感じだろうか?

「ねぇ、さっきのってターナー君でしょ?ウォーリック君、大丈夫なの?」

「うん、大丈夫だと思うけど、あんなに怒っているのは初めて見たよ」

心配そうにカトリナが声をかけてくるが、あんなに感情をあらわにするターナーを見たのは初めてで、僕も戸惑っていた。翌日からはいつも通り、昼間は忙しくウーラント商会の仕事をしているのに、疲れた素振りもみせず、夜にはローザス邸で僕たちと士官学校対策に励む。『新しいメニューが出来た。女性の意見も聞きたいからカトリナと都合が良い時にレストランに行ってくれ』と笑顔で勧める彼に戻っていた。

数日後、この出来事を聞いたクリスティン嬢から謝罪と共に事情を伝えられた。兄貴分と慕っていたトーマスさんの戦死の報に、この事件の前日に接していたらしい。彼の部屋から時折泣き声がしてい
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