第17話 値付け
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協力が必要だろう。なら、先に出資を求めてしまった方が良いだろう。出資以外の協力も得やすくなるし、協力が得られれば、優遇もしやすくなるだろう」
株式会社化のタイミングは俺も迷っていた。別に上場する必要はない。ただ継続的な利益配分が、協力関係の維持につながる以上、早めに株式会社化したいが、事業計画しかない段階で出資を募る事が失礼になるのではないかと不安に思っていた。俺がカウフみたいに既に大成功をおさめていただならともかく、今の俺は亡命貴族の使用人でしかないのだから。
「では20%引き受けて頂く代わりに、1000万ディナール投資していただきたく存じます」
「なるほど、残りの配分は?」
「ウーラント家が50%。私の取り分として、婚約者のクリスティンが10%。実質的には亡命融和派ですが、立場上亡命原理派のジャスパー家に10%、亡命融和派のベルティーニ家に10%と考えております」
会長は視線を俺に向けつつも、この割合の意図を考えられているようだった。外形的には亡命系の資本が80%。これなら、上層部の意向を無視しずらい亡命融和派も出資しやすい。また名目上は亡命原理派のジャスパー家が出資していれば、協力もしやすいだろう。そして割り当ては20%とは言え、創業家を除けば、バーラト系融和派のウォーリック商会を上位に置く。バーラト系融和派の意向も、無視はできないという事だ。
「なるほどね。クリスティン嬢名義ではなく、君個人の名義ならもう少し交渉しただろうが、そう来るなら首を縦に振ろう。それにしてもターナー君は思ったより欲がないんだね」
「そうではありません。嫡男のユルゲン様を徴兵名簿から外す意味で、いずれ士官学校に入学し、任官するつもりです。戦死の可能性もあるのですから、わざわざ相続税を支払う形にするのが惜しいだけです」
「そうだね。それにこのプランでは、直系のだれかが従軍しないと成功は難しい。そういう意味でも君が身体を張るってわけだね」
会長は俺の思惑を見透かしたのだろう。仕方のないやつだ......。とでも言うかのように苦笑している。ただ、俺からすれば初対面のガキんちょのビジネスプランに、お家の将来をかけてくれたんだ。この話が無ければ、高確率で徴兵されて、良くて薄給で10年機関担当の下っ端。下手すりゃ戦死って未来だった。それに比べたら輝きに満ちた将来への道を、俺は歩んでいる。身体を張るくらい、むしろ当然だった。
「20%引き受けられれば、関連会社として扱える。設立業務はウォーリック商会の法務部で行おう。法人向けの口座も必要だな。北極星銀行の頭取とアポを取っておこう。同席してもらいたい。亡命系の金融機関にも口座を作った方が良いな。その辺はジャスパー家かベルティーニ家と相談するとよい」
「ありがとうございます。それと
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