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カーク・ターナーの憂鬱
第15話 テルヌーゼン
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ンで世話になったジャスパーから連絡を受けた。

あのトーマスが、一目ぼれしたのは正直意外だった。もしかしたらエルファシルで新兵訓練を受け、その間に恋仲になった可能性もあるが、教練施設はバーラト星系に集中している。任地に移動する過程でエルファシルを訪れ、その際に情を交わす。誠実で奥手だったトーマスの印象からすると意外だったが、前線に赴く前ともなれば、そういう事もあるのかもしれなかった。

万が一の時は......。なんて事を書いて来たので、言霊の話をしてそういうことは言うなと連絡しつつ、トーマスへのメールにCCでお相手のヤン・シーハンの宛先を入れ、シーハン嬢へのメールにCCでトーマスを入れた。シーハン嬢へのメールは、まぁ当たり障りがないと言うか、トーマスの弟分で航海士見習いをしている事、トーマスは弟分の俺から見てもお人好しの甘ちゃんなので、愛想が尽きない程度に迷惑でなければ付き合ってほしい旨を連絡した。
シーハン嬢は看護師をしており、軍人の相手は慣れているらしい。トーマスの無事を祈るとともに、無事ならまた会いたい旨を綴っていた。ちゃんと恋愛をしているトーマスが、妙に羨ましかった。俺はいきなり婚約して、しかも家の浮沈にも責任ありだ。無いものねだりなのはわかっているが、責任の重さを理解している俺にとって、普通の恋愛が自分にはもう望めない物であるからなのか?変に羨ましかった。

「ウーラント家のターナー様ですね?ウォーリック商会のオルグレンと申します。お迎えに上がりました」

乗車場に近づくと、ダークスーツに身を固めたビジネスマン風の男性が声をかけてくる。彼にジュラルミンケースを預け、トランクにしまわれるのを横目に後部座席に乗り込む。ウォーリック商会はテルヌーゼンを代表する商会の一つだし、キャプテン佐三と井上オーナーの出身商会でもある。彼らの弟子と言っても良い俺は、ウォーリック商会からすると孫弟子ってところか?ただ、俺への対応と、荷物への配慮を見ると、それなりに評価しているのかもしれなかった。出だしはぼちぼちってとこか?

車窓を流れていくテルヌーゼンの街並みを横目に、俺はタブレットに視線を向ける。ジャスパーとおそらくあのバールの常連の熊、ベルティー二は士官学校対策のために、テルヌーゼンのローザス家に転がり込んだらしい。バーラト系融和派とのパイプを作りたい旨や、亡命融和派を支援するために、投資先の相談に乗ってほしい旨の打診を受けていた。俺のビジネスプランには亡命融和派とのパイプが必須だ。とは言えこちらの体制が固まる前に、希望的観測を前提で金が絡む話をするのは揉め事の素だ。お互い落ち着いたら、一度会おうと返信していた。

車が速度を落とし、ある邸宅の門の前で停車する。オルグレンの姿を確認したのだろう。門が開き、車は邸宅の敷地内へ進み始めた。さ
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