第17話 リップシュタットの密約
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グラム候を上回ったとしても、統一された軍の敵では無いでしょう。また、ローエングラム侯は手強いものの周囲への伝手や配慮、根回しに欠け、おそらくその部分が最大の要因となり最終的には閣下に敗れるでしょう」
「なるほど……面白い推論だが、私が彼らと戦うと決まったわけではあるまい。その考えは早計に過ぎるのではないかな?」
「仮に、閣下が戦いをお避けになっても彼らの方が閣下を見逃してはくれないでしょう。閣下が生き残るにはお勝ちになるしかありませんわ」
「ふむ、見事な見識だ。そういうことならこちらも味方が欲しい。マリーンドルフ家はもちろん、その口添えのあった家は厚く遇することを約束しよう」
「閣下の寛大なお言葉を頂き、私どもも知人縁者を説得しやすくなります」
「味方は一人でも多い方が良いからな。特に、フロイラインのような美貌と知略を持つ者は。マリーンドルフ伯もフロイラインのような娘をもってさぞ幸せだろう」
「ありがとうございます。マリーンドルフ家は閣下に絶対の忠誠をお誓いします」
コンコン
「ん、どうした?」
「閣下、ブラウンシュバイク公たちが動き出しました」
「ほお、ようやく動くか。フロイラインマリーンドルフ、今日は楽しかった。いずれ食事でもご一緒させていただこう。では」
そう言って、ハプスブルク大公は部屋から出て行った。
一人部屋に残ったヒルデガルドは、ホッと一息下ろすのであった。
* * *
ローエングラム候ラインハルトとリヒテンラーデ公の専横に反対する貴族たちは、ブラウンシュバイク公の別荘のあるリップシュタットの森に参集し、密かに盟約を結んだ。
これを称してリップシュタット盟約と呼び、これによって誕生した貴族たちの軍事組織をリップシュタット連合軍という。
盟主にブラウンシュバイク公オットー。
副盟主にリッテンハイム候ウィルヘルム。
その他、参加した貴族3760名。
正規軍と私兵を合わせた兵力は2560万に達する。
そして、その連合軍司令官にウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将。
副司令官にグスタフ・フォン・ナトルプ上級大将。
実績・人望ともに豊かな老練の名将2名が十数万の大兵力を指揮する。
もっとも、メルカッツはブラウンシュバイク公に脅されての参加であり、ナトルプもある事情・思惑があって参加していたのだが……。
・・・・・
ブラウンシュバイク公の配下の一人であるアントン・フェルナー大佐は独断でラインハルトの暗殺、もしくは姉であるグリューネワルト伯爵夫人の身柄の拘束を図ったが失敗。
それに前後して、ラインハルトは新無憂宮《ノイエ・サンスーシ》、軍務省、統帥本部を制圧。
その後、リップシュタット盟約に調印し
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