第一章
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狒々の霊
茶色にした長い髪の毛を左の頭の上野ところで黄色いリボンでまとめている、三十代後半だが若々しいハリのある肌で細い眉と勝気そうなやや切れ長の目と小さく赤い唇を持っている。背は百六十三程で胸はかなり大きく腰もくびれている。それが北山晶だ。神戸にある八条劇場のスタッフをしている夫の順一との間に中学生の息子がいて家は大阪市西成区にある。その彼女には今一つ悩みがあった。
自宅の近くの喫茶店普段はパートをしているその店で店長である友人の池波榮子色気のある黒髪で垂れ目そして左目の付け根には泣き黒子のある彼女にカウンターで紅茶を飲みつつ言った。
「最近旦那が激しいのよ」
「いいことじゃない」
榮子は白のジーンズに赤のシャツという目立つ色彩の服装の晶に返した。
「夜の生活があるって」
「普通はね」
「というとあんたそういうの嫌いなの?」
「嫌いじゃないけれど」
実を言うとむしろ好きである。
「それも限度があるでしょ」
「そうなの」
「旦那とは高校の時から付き合ってるけれど」
神戸の八条学園高等部で知り合い大学も同じ八条大学だった。
「実は高校の時から出来てたけれど」
「その時と同じとか?」
高校生つまり十代の頃からというのだ。
「だったら凄いわね」
「それが十代の時以上になのよ」
「十代の時以上って」
「もう毎日六回よ」
「毎日なの」
「家にいたらね」
「それは凄いわね」
榮子も驚きの声をあげた。
「それはまた」
「息子がいても寝室に連れ込んで部屋の鍵を閉めて」
「それでなの」
「休みだと朝も昼も時間があればで」
「十代の時以上になの」
「もうこう言ったら何だけれど」
店の他の客の耳を意識して小声で話した。
「もうお猿さんみたいにね」
「凄いの」
「ええ。大学卒業してすぐに就職して結婚してね」
そしてというのだ。
「息子が出来たらもう回数急に減ったのに」
「最近はなの」
「毎日なのよ」
「毎日六回なの」
「急にそうなったのよ」
「旦那さん同じ歳よね」
榮子は晶にこのことを確認した。
「そうよね」
「ええ、三十七歳よ」
「うちの旦那三十七の時は。今もだけれど」
「もう全然でしょ」
「男の人って三十超えたらね」
それからはというのだ。
「もう急にね」
「性欲落ちるわよね」
「十代の時が最高で」
若い時がだ。
「三十代になると」
「もうかなり落ちてるわね。実際に旦那二十代の時はもう極盛期過ぎていて」
「三十代になったら」
「十代の時の三分の一以下だったのよ」
そこまで性欲が落ちていたというのだ。
「そうだったのよ」
「それがなのね」
「最近急によ」
「十代の頃以上なの」
「そりゃ私もするなら拒
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