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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギア無印編
今はまだ恋人で
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トを受け取り、残るは颯人だけになった。彼は敢えて自分の番を最後に回したのだ。
「最後は俺だな。誕生日おめでとう奏、こいつが俺からのプレゼントだ」
颯人が皮手袋に包まれた手で持ったプレゼントを奏に渡す。彼からのプレゼントを奏が受け取り開けようとするのを、翼達は少しハラハラしながら見守っていた。と言うのも、これまでの事からあれがビックリ箱である可能性が少なからずあったからだ。
だがそんな心配に気付いていないのか、奏はするすると包装を解き箱を開けた。
果たして、その中身はビックリ箱などではなかった。入っていたのは銀色の髪飾りだ。鳥の羽を模した銀色の髪飾りで、中央にはオレンジ色の宝石――サンストーンが埋め込まれている。
「わ、綺麗!」
「って言うか、ビックリ箱とかじゃなくてちゃんとしたプレゼントだったってのが驚きだ」
「あのね、クリスちゃんや? 俺だってTPOは弁えるよ」
クリスからの茶々に颯人が苦笑いしながら返している中、奏はもらった髪飾りをしげしげと眺めると徐に颯人に問い掛けた。
「これもしかして、颯人の手作り?」
「ん? 何でそう思った?」
「じゃ、その手袋外して」
奏にそう言われると、颯人は降参だとでも言いたげに手を上げ皮手袋を外した。すると手袋の下にあった彼の手は、あちこちに生傷や絆創膏が貼られていた。
響達が驚く中、颯人は苦笑して自分の手を見つめながら口を開く。
「やれやれ、情けないもんだぜ。見様見真似じゃ上手くいかないもんだな」
「え? どう言う事奏?」
「あぁ皆は知らないのか。颯人のお母さんは工芸家だったんだ」
「主に指輪なんかのアクセサリー作りが得意でね。俺もそれを間近で見る機会があったんで、色々と覚えてたんだが……久々すぎて随分と鈍っちまった」
そう言って右手を左手で包む颯人を見て、奏は再び手の中にある髪飾りを見る。彼はあんな事を言うが、これの出来はそこらの店で売っている物に全く負けていない。
何より、颯人が手品師の魂でもある手を傷付けながらも必死に手作りしてくれたという事が奏の胸に響いた。
「確かに……昔見たアリスおばさんの作ったアクセサリーに比べたら、まだまだかもね」
「ちょ、奏――」
「まぁ待て翼」
折角のプレゼント、それも見事な出来のそれに文句をつけるかのような奏の口ぶりに翼が嗜めようとするが、弦十郎がそれを宥めた。
「でも、颯人が珍しく一生懸命作ってくれたって思うと、それだけで凄い嬉しい」
奏は髪飾りを付けると、普段みせるのとは違う花が咲いた様な笑みを浮かべた。
「だから……ありがとう!」
「ッ!? あぁ」
普段見られない笑みを向けてくる奏に、颯人も屈託のない笑みで返した。
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