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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギア無印編
今はまだ恋人で
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颯人は今、自室で机に向かって人生で五本の指に入るほどの集中力を発揮していた。
彼が集中を向けている先は、自身の手の中にある物。彼はそれを削り、刷毛で払い布で磨く。
「イテッ!?」
と、その時。一瞬の気の緩みからか、手元が僅かに狂い鑢で指先を傷付けてしまった。傷口から血が滲むが、彼はその指を軽く舐めて血を拭うと作業を再開する。
全ては来るべき時の為に…………。
――待ってろよ、奏――
胸に最愛の女性の姿を思い浮かべながら、時が経つのも忘れて颯人は作業に没頭するのだった。
***
その日、7月28日はある人物にとって特別な日だった。
何を隠そう、彼女…………天羽 奏の誕生日なのだ。
ルナアタック事変終息後、機密保持の為に行動制限を受けていた颯人達だがそれも解除された。それまで窮屈な生活を強要していたので、気晴らしと日頃頑張ってくれている装者達への労い、勿論純粋に誕生日を迎えた奏を祝う事も含めて、彼女の誕生日は司令部機能を移した潜水艦の仮説本部で盛大に祝われた。
パーティーは勿論サプライズ。奏には内密に準備が進められ、何時も通り何気なく仮説本部に顔を出した奏を弾けるクラッカーが出迎えた。
「お誕生日おめでとう、奏!」
「奏さん、お誕生日おめでとうございます!」
「わっ!? え? あ、そっか……今日アタシの誕生日だった」
奏は突然の事に面食らった。それもその筈で、今回のサプライズでは颯人が大いに助力しとにかく奏に誕生日と言うものを意識させないように努めたのだ。お陰で奏は、日々のノイズとの戦闘の事も手伝って今日が誕生日だという事を完全に忘れていた。
呆ける奏の背を、颯人が優しく小突いた。
「何ボケっとしてんだよ? トップアーティストがこの程度で呆けんなって」
「う、うるさいな! いいだろ、少しくらい」
情けない姿を見られたからか、少し不貞腐れる様にそっぽを向く奏。彼女の様子に颯人はクスクスと笑いながら、彼女をパーティー会場の中心に誘った。
「ほれ行くぞ奏!」
「わ、分かったって!」
それから、パーティーは賑やかに進行した。誰もが料理を楽しみ、余興として披露された颯人のマジックショーは大いに盛り上がった。この日の為にと用意したマジックは何時にないキレを誇り、奏だけでなく二課の者全員を楽しませた。
だがやはり、誕生日パーティーのメインと言えばやはりプレゼントの贈呈だろう。響は待ってましたとばかりに、奏に用意したプレゼントを渡す。
「奏さん! これ、私からのプレゼントです!」
「お、ありがとう響」
「奏。私からは、こ、これ……」
「翼、ありがとう。嬉しいよ!」
その後も一通りプレゼン
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