第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第51話 シスターウォーズ エピソード4/4
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だ大人しくしてくれないんですね……」
「でも、ここまでやればさすがのフランでも、あと一歩よ」
勇美に言われて、レミリアは妹のしぶとさと逞しさに対する誇りとの感覚の間で複雑な気分となっていた。
だが、今はそのような事は気にしてはいられない。今のフランドールとの戦いを終わらせる事にだけ集中すればいいのだ。
レミリアがそう心に決めていると、そこに気配を感じた。
「お前は……」
そう、それは先程まで、あくまで傍観の意を示してきた──依姫であった。
「私達はまだやれるわよ!」
「私『達』ね♪」
そのフレーズを聞き、依姫はクスクスと笑ってみせた。レミリアが自分だけでなく、勇美の事にも気を回してくれたのが依姫は嬉しかったのだ。
そう反復されて、レミリアは自分の頬を正に彼女の象徴の色に染め上げてしまった。
「そ、そんな事はどうでもいいでしょ!」
月では悪態をつきつつ部下や友人を気遣うという器用な配慮をしたレミリアであったが、今回の駆け引きに関しては依姫の勝ちであった。
それはともあれ、レミリアは次のように言い切る。
「ここまで私達でやって来たのよ、今更お前の出番はないわ!」
やや辛辣な発言とも言えるだろう。だが、依姫は動じずに冷静に語り始めた。
「ええ、貴方と勇美は十分にやりました。幻想郷を守る器は抜かりなくあるでしょう。
なので、ここからは私の我がままとして受け入れてはくれないかしら?」
「お前……」
そんな依姫に対してレミリアは反論する事はなかった。
依姫はフランドールと同じく『妹』という立ち位置であるのだ。その事からレミリアは何かを感じる所があったようだ。
「……分かったわ」
「ありがとう」
こうして互いに承諾し合った依姫とレミリア。
その後依姫は静かにフランドールの元へと歩んでいったのだ。
「グウウ……うう……」
そこには今まで凶悪な様相を見せていたフランドールに、元のあどけなさの面影がちらついていた。
「フラン……、苦しかったでしょう。でも、安心して。それもこれで終わるから。
『天照大神』に『伊豆能売』よ……」
今までにない憂いを帯びた表情で二柱の神に呼び掛けると、依姫は右手をフランドールの前に翳した。
その最中、依姫は想っていた。
自分の神降ろしの力は誇りである。これにより様々な思いと触れ合う事が出来、得られるものも多かったからだ。
そして、機械を生成して操る力を持った勇美もまた自身の力を大切に思っている事だろう。この能力があったからこそ依姫と関わる機会を手に入れ、成長の好機を得る事が出来たのだから。
だが、フランドールはどうであろうか? 純粋で無邪気な彼女は、自ら進んで『破壊の力』等求めたりはしなかっただろう。
つまり、彼女自身が望まずして備わってしま
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