第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第51話 シスターウォーズ エピソード4/4
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慢気に話すレミリアに嫌味のようなものを感じないで、勇美は素直に心の内を打ち明ける。
「それで、その剣の名前は何て言うんですか?」
勇美は新しい玩具を店頭で見付けた子供のようにウキウキしながら聞いた。
待望の命名の瞬間。勇美はゴクリと唾を飲み、その時を待つ。
そしてレミリアはその名を口にする。
「その名は、『紅太郎』よ♪」
「ぅぁ〜っ……」
勇美は声にすらなり損ねた音を出しながら、思い切り嫌そうな顔をした。
まず、剣なのに『たろう』はないだろうと。
しかも、そこはかとなく、愛用のパンツ(ブリーフ)を取り戻しに行きそうなのも生理的に受け付けなかった。
ブリーフ派のお嬢様。咲夜でなくともこれには嘆くだろう。
「あ……」
予想以上に引かれたので、レミリアはこの事を手堅く今後の反省材料にしようと心に決めたのであった。
「オホン……。ごめん、冗談よ」
咳払いを織り混ぜつつ、レミリアは場の空気の再生に努める。
「レミリアさん、人が悪すぎですよ……」
いじけ気味で勇美は言う。やや涙目にさせてしまったのが、レミリアの良心をチクチクと刺すのだった。
「ごめんって。それじゃあ次は本気よ」
言ってレミリアは誇らしげに紅き剣を掲げながら言う。
「名付けて、【十字剣「ドラキュラブレイド」】よ」
「おおー、いい名前ですねー♪」
今度は勇美のウケも良かったようである。その事にレミリアは安堵するのであった。
そのようなノリを見せる勇美であったが、ここで彼女の雰囲気が変わった。
「レミリアさん」
「何かしら?」
突然勇美に呼び掛けられ、レミリアは頭に疑問符を浮かべ、聞いた。
そこで、勇美は微笑んで答える。
「私、依姫さんの助けで授かった力で何をしようか迷っていましたけど、今のレミリアさんを見て決めました」
そう言ってから勇美は彼女自身が神に呼び掛けるのだった。
「『金山彦命』に『天照大神』よ。更なる力を私に貸して下さい!」
勇美がそう宣言すると、彼女の眼前に金属の粒子が集まっていったのだ。
そして、それだけではなかった。
「何? 光までも……?」
レミリアのその言葉通り、金属の粒だけでなく、光の粒──これは光子というものだろう──までも集まっていったのである。
そして集っていった鋼と光は織り混ざる事となる。金属に光が反射して輝く姿は非常に神秘的であった。
その美しい光景も終わりを迎える事となる。そこには実体とエネルギーのハイブリッドの武器が誕生していた。
それは黄金色に輝く神掛かった様相の一品であった。更に特筆すべき事をレミリアが指摘する。
「あなたも剣を使う事にしたのね」
「えへへ、そうなんですよ〜」
レミリアに言われて、勇美は照れくさそうにする。
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