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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第51話 シスターウォーズ エピソード4/4
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 依姫は刀を天高く構えながら神に語り掛けた。そして、その力の名を宣言する。
「【月力「妖魔の踊りくる夜」】!!」
 そして、月読から発せられたのは、妖しく強大な月の力であったのだ。
 依姫の同志たる月人はこの力を使って、身勝手な理由で地上に住まう生き物を妖怪化しているのだ。
 だから、依姫はこの力を使うのに対して複雑な心境であった。
 だが、今回は誰かを助ける為にその力が使われるのだ。故にレミリアと同様に、依姫も腹を括るのであった。
 対して、自分にとって極上の禍々しい力を浴びるように取り込んでいったレミリアは、実に上機嫌になっていったのだ。
「最高、最高よ! 紅い月の時に霊夢とやり合った時のように、血湧き肉踊るわ!」
 今なら何でも上手くいくかのような、激しい高揚感にレミリアは酔い知れていた。
 そして、それが気持ちや幻覚のような安っぽいものでない事の証明の為に、レミリアは行動を起こしたのだ。
 彼女は瞳を一際不気味に紅く輝かせたかと思うと、全身からまるで蒸気のように霧を噴出し始めたのだ。
 勿論ただの霧ではない、彼女を象徴する目に焼き付くような紅い霧であった。
 それは、壊れた蛇口から噴出するように止めどなく沸いて出るかと思われた。
 だが、その予想は外れる事となる。
「さて、量はこれ位でいいか」
 そう言って、レミリアはどこかやり遂げたような表情を見せた。
「レミリアさん……?」
 勇美はレミリアの狙いが読めずに困惑する。何の為に大量の紅い霧を出したというのだろうか?
 そんな勇美に対して、レミリアは答える。
「まあ、見てなさいって♪」
 そう意気揚々とした態度を取っていた。今なら全てがうまくいくような心持ちだからである。
「はっ!」
 そしてレミリアはそこで、おもむろに気合いのようなものを発した。
 すると、彼女が出した紅い霧はまるで生き物かのように妖しくうごめき始めた。
 そして、それらは全てレミリアの手に集約されていったのだ。
「!」
 それを見て勇美は驚いた。レミリアの手で寄せ集められた霧が、まるで粘土細工のようにグニャグニャと変型を始めたからである。
 レミリアがその『霧の工作』の様は非常に楽しそうであり、勇美はつい「自分も混ぜて欲しいな」と思ったりしていた。当然その霧はレミリアしか扱えない為に無理な注文であったが。
 そして、憩いの時間を堪能したレミリアが『芸術作品』を完成させたのだった。
「出来たわ……」
『それ』を誇らしげに掲げて見せるレミリアであった。
 その完成品は大剣であった。それもレミリア本人位か、それ以上の丈を誇っていた。
 更にその造型は、まるで真紅の十字架をあしらったような禍々しくも神々しいものであったのだ。
「どう、驚いた?」
「ええ、凄いです」
 自
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