第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第50話 シスターウォーズ エピソード3/4
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かしらね♪」
そうおどけて言うレミリアであったが、答えは既に決まっているのだった。
彼女は光の矢をその膂力の下、強引にメキメキと折り曲げ始めた。まるで鉄パイプが軋むような耳障りな音が鳴り響く。
そして、彼女は光の矢を円形に変形させていたのだった。
「ふんっ!」
続いて、矢先と矢尻の部分にレミリアは力を込めた。
すると、どうだろうか。その二つの部分はものの見事に、まるで溶接されたかのように接合されたのだった。
それにより、先程まで光の矢だった物は、今では立派な円形の物体と化していた。
「何か良く分からないけど、凄いですね……」
レミリアのその芸当を、勇美はただただ感心しながら見ていたのだった。
「他ならぬ勇美のご指名だからね。目を引く演出はしないとね♪」
そうレミリアはおどけて言ってのけた。
そして、彼女はやや神妙な面持ちとなって続ける。
「でも、勿論演出だけで終わらせるつもりはないわよ」
「レミリアさん……」
レミリアにそう言われて勇美はこそばゆくも嬉しい心持ちとなるのだった。
「最後の仕上げね」
そんな勇美の気持ちに応えるべく、レミリアは最終段階へと入る。
「はっ!」
先程のように気合いを入れると、光の輪に変化が起こった。
つるりとした流線型の円だった輪に、無数の棘が生えたのだ。それは正に……。
「まるでノコギリみたいですね……」
その勇美の感想が全てを物語っていたのだった。
それは丸鋸そのものであったのだ。
「ご名答よ、勇美♪」
そう言いながらレミリアは空いた方の手の人差し指を立てて見せた。
そうおどけて見せた後、レミリアは表情を真剣なものへと豹変させてフランドールを見据えたのだ。
何故なら、これから行う事は失敗は許されないからだ。勇美の為にも、そして──フランドールの為にも。
その想いを胸にレミリアは遥か上空へ飛び出したのだ。フランドールが空間を捻じ曲げて作り出した夜空へと。
一頻り飛び上がったレミリアは遥か地上──元は地下牢の床──に立つフランドールを見据えたのだ。その吸血鬼故の優れた視力で。
当のフランドールに取り憑いている者は取り乱しているようだ。まさか自分の得意の攻撃を横取りされるとは思っても見なかったのだろう。
故に今が好機なのである。これを逃したら勝機はないかも知れない。
「……」
そう思いレミリアは無言で勇美に目配せをした後に、じっくりとフランドールを見据えたのだ。
そして、遂に彼女はそのスペルを宣言する。
「【鋸刃「スタースロー」】!」
レミリアは力の限りをその光の丸鋸に込めて、体のバネを使い一気にぶん投げたのだった。
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