第七十四話
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
開戦が間近に迫ったある日の夜、小十郎と二人で月を見ながら酒を飲んでいると、かすがが目の前に現れた。
いつものばっくり開いたボディラインがよく見えるコスチュームではなくて、きっちり着物を着ているのが何か悔しい。
だって眼福じゃないっすか。あんなの男臭い城に勤めてりゃ、そう見れるもんじゃないし。
「かすが、どうしたの?」
今回上杉はどちらの軍にも属さないと決めて、中立の立場を守っている。
だからそのかすががこんなところにいるってのは、どうにもおかしい話なわけで。
「織田の協力者、ようやく洗い出しが終わった。魔王の妹を預かっている以上は、知っておく必要があると思ってな」
「……ちょっと待ってくれる? 今、お市を保護してんのが家康さんなのよ。
私達にだって全く無関係な話じゃないし、場所移して話さない?」
私達は揃って家康さんのところに行って、織田の協力者についての情報があると伝える。
それに眉を顰めて私達を部屋へと招いてくれた。
部屋には私や小十郎、家康さんにホンダム、そして無理矢理叩き起こされた政宗様とお市がいる。
「織田の残党の協力者なのだが、裏で手を引いているうちの一人に、西軍の小早川秀秋に仕える天海という僧が浮かび上がった。
少し気になって素性を調べてみたのだが、天海などという僧はどの宗派にも属しておらず、小早川に仕える前は何をしていたのかも定かではない。
小早川は近年稀に見る暗愚な国主だ。天海が裏で操っているという噂もある。小早川を利用して織田に手を貸すのも難しい話ではないのだろう」
天海、ねぇ……。その小早川ってのの背後に、怪しい奴がいるわけかぁ。
……ん? 小早川秀秋? 何かどっかで聞いたような覚えが……。
「それで、他には?」
「西軍の総大将である石田三成の配下、今回の戦では軍師を務める大谷刑部という男が動いている」
おいおい、また大物が出てきたな。石田の配下ってことは豊臣の人間なのね、その人も。
「大谷刑部、か……」
家康さんが大谷の名を聞いた途端、随分と渋い顔をしていた。
「御存知なのですか?」
「……ああ。豊臣に従っていた頃に会った事があるんだが、陰陽道に精通しているようで随分と不思議な術を使う男だった。
病に冒されているとかで自力で歩くことが困難だそうでな、いつも宙に浮かぶ輿に座って移動をしていた」
宙に浮かぶ輿って。また不思議なもんが出てきたな。でもまぁ、ホンダムに比べりゃインパクト薄いか。
「赤子の頭ほどの大きさの珠を複数操って攻撃を仕掛けて来るんだが……これがまた厄介なものでな。
予測の付かない攻撃で何人もの人間がやられたものだ」
ふぅん……? 輿に乗って珠を操って……なん
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ