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竜のもうひとつの瞳
第七十四話
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か陰陽師っていうよりも妖術師っていう方が合ってるような気がするけど。

 「西軍は総大将が機能していないから、事実上大谷と毛利が動かしていると言っても過言ではない。
互いの間には何か密約があるらしいが、その内容は定かではない……が、毛利も一枚噛んでいる可能性は否定出来ない」

 かすがの報告を聞いていると、まだ不確定要素が大きいような気がする。
っていうか、総大将が動いてないってのは佐助からも聞いてたけど、やっぱりそうなんだ。
影の総大将は大谷吉継か。なるほど、そういう人間が絡んでるともなれば全国的に人を襲わせることも出来るわね。

 「……調べられたのはそこまでで、具体的な中身は分からないに等しい。
調べようと動いてはいるが、余程極秘事項なのか、どうにも身動きが取れずにいる。
織田の動向を探って、今回の戦に参加しない武将達に呼びかけ、どうにか魔王復活を阻止するべく動いてはいるが……
現状でどの程度準備が整っているのかの把握が出来ない」

 ……ってことは、もう準備万端でいつでも魔王を呼び出せるようになってるかもしれないってこと?
豊臣がお市を攫おうとしているってのも、ひょっとしたら準備が整ったからなのかも……。

 「西軍の動きはどうにも不可解だ。東軍のように絆を重んじているわけではないから、仲間同士の連帯感も無ければ信頼関係も無い。
それに、策略によって貶められたところもあるようだ」

 「策略?」

 「詳しくは分からないが、徳川の仕業に見せかけて戦を起こし、西軍に引き入れた、ということもあると聞く」

 その言葉に家康さんが眉間に皺を寄せている。ホンダムもなんだか機嫌が悪そうだ。
そりゃまぁ、やってもいないのに自分らがやったように見せかけられりゃ、機嫌も悪くなるわ。

 「……雑賀衆からの情報は?」

 「それが、雑賀衆の姿がここ数日見当たらないのだ。西軍に組したとは聞いたが、大阪城にいる気配も無い」

 それは怪しいな……これは、何かあったと考えた方が良さそうだ。
開戦まではあんまり時間が無いけど、まだ間はある。重力の力を使って移動時間を短縮すれば、どうにかいけるか。

 「政宗様、開戦までには戻ってくるので、しばらく離れる許可を」

 政宗様はしばらく考えた後、諦めたように溜息を吐く。

 「……OK、必ず開戦までには帰って来いよ。景継、小十郎を貸してやるから連れて行け」

 「政宗様!?」

 これには流石の小十郎も驚いてる。
そりゃ、小十郎はこれから開戦の準備を進めなきゃならないわけだし、こんなところで離れるわけにはいかない。
貸してくれるってんなら有難いけど。

 「そいつは俺の妻にしたい女だ。きっちり守れよ、小十郎」

 「しかし」

 
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