第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第49話 シスターウォーズ エピソード2/4
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間に対する情は殆ど沸かない筈である。
だが、この時の彼女は明らかに勇美の事を気遣いながら叫んでいたのだった。
「レミリアさん、嬉しいですね。人間である私を気遣ってくれるんですね」
そう勇美は微笑みながら言ってのけた。どこか余裕だ。
「そんな事言ってる場合じゃないでしょう!」
レミリアはそんな場違いなのたまいを見せる勇美に叱責する。彼女にはフランドールの余りにも強大に膨れ上がった力で、勇美が自棄になってしまったかのように思われたからだ。
だが、それはレミリアの思い違いであったようだ。勇美は問題無いとばかりに懐からスペルカードを取り出し、宣言する。
「【空符「倒し難き者の竜巻」】」
勇美は既に呼び掛けておいた『風神』の力を借り、目の前に巨大な送風機を現出させて見せたのだ。
そして、送風機のファンは力強く回り始め、瞬く間に激しい突風を生み出したのだった。
それにより、赤い粘着質の罠は空中で大量の雫を撒き散らせながら押し返され、そして完全に吹き飛ばされてしまった。
後には、何事も無かったかのように、地下牢が存在していたのである。
その様子をレミリアは唖然と見据えていた。
「すごい……」
彼女らしくなく、レミリアは素直に賞賛の意を込めて呟いていた。
彼女はかつて一度勇美と相まみえているから、その実力は知ってはいた。
だが、あの時は対戦相手、つまり敵として関わったのだ。
しかし、今は味方として彼女は行動したのだ。故にその心強さをレミリアは身を以って体感する事となったのだ。
「これは頼もしいわね♪」
「ありがとうございます。でも、私の戦い方って危なっかしいから、余り頼らない事をお勧めします」
そんな軽い口調で言い合った二人は、またも以心伝心による微笑みを交わし合った。
(勇美。レミリアと息がピッタリのようね……)
天子と衣玖との時も、最初依姫と協力して戦った勇美。その時も依姫との抜群のコンビネーションを見せていた(尤も、相性が良すぎて彼女のためにならないと依姫は分離して戦うように仕向けた訳であるが)。
そして、今回もレミリアとの見事な連携を見せているのだ。
これは、彼女の力が借り物による所が大きいだろうか。彼女自身の力で無いが故に、彼女は力を欲する心が強くなっていったのだろう。
故に、他者の力をうまく活用しようという念が強くなり、結果力を合わせる能力が磨かれていったのか。
つまり、勇美は自身が力を持たざるが故に、周りの力を取り込む性質を向上させていったという事であろう。
この先、この勇美の『力』が役に立つだろう。そう依姫は根拠はないが、そう確信めいた感情を抱くのだった。
◇ ◇ ◇
そして、勇美とレミリアの、フランドールとの戦いは続いていたのだ。
フランドールは
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