第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第48話 シスターウォーズ エピソード1/4
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ったのだ。
これが完全にレミリアが自尊心の塊であれば、部下の負けという自分の顔に泥を塗るような事態は決して許しはしなかっただろう。
詰まる所は、レミリアには吸血鬼としての恐ろしさだけではなく、人間に通じるような優しさも持っているという事である。
それは彼女に元からそういう要素があったのか、はたまた幻想郷や霊夢達と触れ合う事で身に付けていったのかは定かではないが。
大事なのは、レミリアが今、優しさを持っているという揺るぎない事実であった。
故に、最早レミリアの答えは決まっていたのだった。
「分かったわ、お願いするわ」
「いい子ね」
そんなレミリアを、豊姫は暖かく見守っていた。
「あの……」
そのやり取りに勇美が入って来た。
「勇美ちゃん、何かしら?」
豊姫は笑みをたたえながら、勇美に言った。
「私もレミリアさんの力になりたいのです。
勿論、私では力不足かも知れません。
でも、レミリアさんの気持ち、少し私にも分かるからです」
そう言って勇美は説明を始めた。
その理由は彼女もレミリアと同じ、『姉』という立場だからである。
妹を大切に思う気持ちは、勇美は自分にも分かるのだ。
しかも、勇美の場合は双子、レミリアの場合は500年生きた中での僅か5歳違いであり、共に過ごした時間が非常に近いのもあった。
「やっぱり、双子やそれに近いと何か通じるものがあるのかしらねー。ねえ依姫」
二人のやり取りを聞いていた豊姫は、ここでしみじみと言った。
「そうね、お姉様」
それに依姫も賛同したのだ。
「?」
そのやり取りを見ていた勇美は、頭に疑問符を浮かべた。もしかしてと思い、勇美は二人に尋ねた。
「もしかして、豊姫さんと依姫さん『も』双子だったんですか?」
それが勇美が確かめておきたい事実であった。
それに依姫が答える。
「ええ、そうよ。今まで言ってなくてごめんなさいね」
「そうだったんですか〜」
答えを確かめた勇美は、徐々に自分の頬が綻ぶのが分かった。
綿月姉妹が自分と楓と同じく双子だった。その事が分かり、勇美は嬉しくなっていたのだった。
そこに豊姫が付け加える。
やはり双子だと何か特別なものがあるのだと。
そして、依姫とほぼ同じ時を過ごした事で得られるものがあったのだ。
自分よりも依姫は優秀であった。その事に嫉妬もしかけた。
だが、過ごした時間が近かった事があり、依姫が人一倍努力している事も知れたし、豊姫の自分自身の依姫には無い価値をより見出だせもしたのだ。
そして、依姫は思う。そのような貴重な体験を勇美も味わっていたのだと。
だから、その気持ちは無駄にしてはいけないだろう。
そこまで思い、依姫はある提案が頭の中に浮かんだ。それを彼女は言葉に紡ぐ。
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