第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第47話 新たなる兆候
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今、紅魔館の知識、パチュリー・ノーレッジは──未だかつてない驚異に晒されていた。
彼女の目の前には咲夜が倒れている。
そして彼女の友人であるレミリアは、奮闘はしているものの、『相手が相手』では分が悪い。
そして自分もやれるだけの事はやった。しかし……。
「げほっ、げほっ」
やはり持病の喘息が足を引っ張ってくれる。パチュリーはこの時程自分の体を呪った事はなかった。
「こうなったら……『奥の手』を使うしかないわね」
そう言ってパチュリーは念を送る。──最近生まれた、新しい絆へと。
◇ ◇ ◇
今は夕食時である。そして、永遠亭でも滞りなく夕食が行われていたのだった。
永遠亭の面子は皆団らんとして楽しく食事をしていた。
そして、勇美と依姫も例外なく食事を堪能していたのだった。
依姫は先日の件で豊姫との関係が物凄く微妙なものとなっていたが、それも今では問題ない関係にあった。
そして、勇美もあの時の事は過去の事と腹を括り、今を楽しんでいたのだった。
彼女が今、舌鼓を打つのは、立派な太さを携えた海老フライであった。
勇美は再度その太い塊を歯で噛みちぎったのだ。
「う〜ん、太くて美味しい〜♪」
そのプリプリした食感を味わいながら、勇美はやや卑猥な表現でそれを称賛した。
彼女は文字通り、正に幸せを『噛み締め』ていたのだった。
そして勇美はご飯やキャベツをつまみつつ、二本目の海老フライへと箸をやりながら呟いた。
「う〜ん、それにしても。海老フライを見てると、依姫さんを思い浮かべてしまいますね♪」
「げふんげふん……」
脈絡もなく話題を振られて、依姫は盛大にむせてしまった。
余りにも接点が無かったからだ。自分の存在を弄ばれたような気がして正気を保つのが辛かった。
「勇美……、余り変な事言うのはやめなさい」
「いえ、変な事ではありませんよ。私には見えるんです」
「何が……」
そう言って依姫は──考えるのをやめた。
◇ ◇ ◇
多少混沌とした空気になったものの、憩いの時間である団らんとした食事は無事に終わったのだった。
後は暫し食後の時間をそれぞれ有意義に過ごし、後は歯磨きや入浴をして床に着くだけである。
今日も一日無事に終わりそうだ。その事に勇美は感謝しながら自分の部屋に行く所であった。
「依姫さん……?」
そこで勇美は、依姫の様子が少しおかしい事に気付いたのだった。
彼女は無言で遠くを見ながら佇んでいたのだった。──まるで何か見えないものを見据えるかのように。
それを見て、勇美は今までにない『何か』を感じたのだ。
「勇美、少し出掛けてくるわ」
だがら、そう言う依姫を放ってはおけなかったのだ。
「依姫さん」
気が付けば勇美は彼女に呼び掛
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