第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第47話 新たなる兆候
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けていた。
「何かしら、勇美?」
「一体こんな時間に何処へ出掛けるのですか?」
そんな勇美を見て、依姫は分かった。彼女は自分を気に掛けてくれているのだと。
だからこそ、依姫は思った。──この事に勇美を関わらせてはいけないと。
「これはね、貴方は関わらなくていい事よ」
その言葉は依姫なりに勇美を気遣っての事であった。これで勇美が分かってくれれば問題ない。
だが、勇美は依姫の予想のしない答えを言ったのだった。
「依姫さんに重要な事なら、私に関係ないって事はないと思います!」
そう言って勇美の視線は揺るぎなく依姫を捉えた。その瞳には意志の強さを物語る火が灯っていたのだ。
「勇美……」
「私と依姫さんが出会ってから、結構時間が立ちます……と言っても依姫さんにとってはほんの僅かの時間だと思いますけど」
「……」
そう言う勇美を依姫は感心しながら見ていた。
そんな立派な事を言えるようになるなんて。ますますこの子は成長しているなと依姫は思った。
だからこそ、勇美のその気持ちを無駄にしてはいけないだろう。
「分かったわ、私に着いて来なさい」
でも、危なくなったらすぐに逃げるのよ、そう依姫は付け加えた。
「はい、分かりました」
それに勇美は素直に答えた。
逃げる事を引き合いにして相手を責めるという、それこそ卑怯な傲慢な人は多い。
勇美の母親もそうである。故に勇美は今まで相手にいつ『逃げ』だと言われるのか心の中で怯えながら生きてきたのだ。
だが、もうそれは過去の事である。依姫の元で成長し自分なりの信念を身に付けた勇美は、いつ相手に逃げだと責められても動じない精神を身に付けたのだった。
それは、依姫の方針が魔理沙に月で見せたように『相手に自発的に逃げ道を作らせない事』であり『逃げだと相手を責める事』ではなかったが故なのだ。
だが、勇美が順守すると心に決めた『逃げ』とはあくまで『自分を大切にする』という事であり、単に自分勝手な事をするという事ではない。
その事を勇美は付け加える。
「私は自分を危ない目には会わせません。ですが、依姫さんや『他の人達』を見捨てるなんて事もしませんよ」
そう言って勇美はニッと笑って見せた。
その瞬間依姫はハッとなった。
「……勘がいいわね」
「ええ、依姫さんが出掛けようとしたのは『誰かに』呼ばれたからなんですよね」
「全くを持ってその通りよ。貴方には驚かされるわ」
「それで、誰なんですか?」
「そうね……」
勇美に言われて依姫は意を決して説明を始めた。
その人物は紅魔館の知識、パチュリー・ノーレッジである事。
そして、依姫を呼び出すに至ったのは、彼女の精霊を操る能力によるものだとも。
精霊と神霊は性質が似通う所も多いのだ。故に神霊の依代と
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