第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第46話 天上の鎧:後編
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に、勇美は涙すら覚えるのであった。そして、とびきりの笑顔で彼に言う。
「私の我がままに付き合ってくれてありがとう、マッくん。それじゃあもう少し頑張ってね♪」
そのようなやり取りを交わした後、二人は一緒に相手の天使を見据えていた。
対して天使は華麗に攻撃を決めた事に気を良くしたかのように余裕を見せながら地面に着地しようとする。
そこで勇美の目の色が変わった。
「今だよ、マッくん!!」
そして、いきり立って叫ぶ勇美の勢いに弾かれるかのようにマックスは、金属製であるながらも人間のように存在する体のバネを使い大地の天使に対して踏み込んだのだ。
「いっけえーー!!」
猛々しく叫ぶ勇美に応えるべくマックスが繰り出したのは──緋想の剣を使った足払いであった。
それは実に単純な行動であったが、着地寸前でバランスを取れていない守護者に対しては効果覿面であったのだ。
「グォォォォッ!?」
呻きながら彼は体勢をグラグラと崩し、そのまま後方へと倒れ込んでしまったのだ。
「っ!?」
その先には──主である天子がいた。
彼女とてただぼおっとして巻き込まれるのを待つような事を好みはしない。
だが、彼女は相手が足払いという屈強な戦士にやらせるにはやや不釣り合いな手段に出てくるとは思わなかったのだ。
「っぐう……」
故に天子は対応に遅れ、そのまま高重量の誇る守護者の下敷きになってしまった。
地鳴りのようなけたたましい音を立てて守護者は、主の天子を巻き込み倒れてしまった。
──そして、天子は目を回したまま動かなくなっていた。
「やっ……た……」
この瞬間に勇美の勝利が確定したのだった。
◇ ◇ ◇
「いや、参ったわ……」
頭を掻きながら天子は宣った。
「しかし、あそこでよく思い付いたわね」
「いえ、『天子さんは防御力に優れているけど、自分の地を操る能力に耐えられる程ではない』。これは緋想の剣が導き出した答えなんですよ」
つまり、相手の強い力をそのまま返してしまえばいいと勇美は考えたのだ。要は『矛と盾』の関係である。
「それでも、あなたの手柄よ。いくら弱点は分かっても、それを付けるかどうかはあなた次第だった訳だから」
「ありがとうございます」
天子に言われて勇美はぺこりと頭を下げた。
そこに依姫と衣玖も現れた。
「良くやったわ、勇美」
「依姫さん、そちらも終わったんですね。見ていてくれていたんですか?」
勇美はその事を知って嬉しそうにした。
「ええ、貴方が『パンツを脱ごうとした』時からね。……その事については後で話をしましょう」
「はうっ……」
やっちゃった。勇美は自分の作戦を些か後悔するのであった。
「自業自得ね」
天子はそんな勇美をニヤニヤしながら面白そうに見ていた
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