第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第46話 天上の鎧:後編
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、生身の人間である自分が巻き込まれたらひとたまりもないだろうと。
だから勇美は、この勝負の行方を自分の分身に託すのだった。
「くぅ、土くれだと思っていたら、固いですね!」
「まあ、何て言っても、私の能力で創っているからね」
勇美に言われて天子は得意気に返した。
「まずはあなたの攻撃は防いだ。次は私の番よ!」
言って天子は指を相手に指して指示を出した。
すると土の天使はグォォォッと洞窟に風が流れるような声を出して、天子の命令を受けて動き出した。
そして天使は拳を振り被ると腰を入れて敵の騎士に殴り掛かったのだ。
「させないよ!」
それに勇美はマックスに指令を送ると、彼は緋想の剣を掲げてその拳撃を受け止めた。
緋想の剣から中心に再び激しい衝撃が走った。
ジェットコースターの下りのように地に足が着かなくなるような浮遊感に襲われる勇美。だが、彼女は腹を括り足を踏み込み耐えたのだ。
「『拳の攻撃』は防いだようね。でもこれならどう?」
天子が言うとその大地の天使は背中の翼で勢いよく羽ばたき始めたのだ。
それにより強烈な突風が騎士を襲った。
対して勇美の方も服がはためき、立っているのがやっとの状態となった。
「くぅっ、これだけ風が強いと、パンツ穿いていて良かったと思うわ〜」
「……このガーディアンに戦いを任せている訳だから、もうお色気作戦は通用しないわよ♪」
「ぐぬね……」
痛い所を突かれて、勇美は歯噛みした。最もあの時彼女がパンツを脱ごうとしたのは半分は作戦ではなく本気だった訳だが。
天使の突風に相手が怯むのを見て、天子は今が好機だと踏んだ。
「ガーディアン、『アレ』をお願い♪」
その天子の言葉を受け、天使は響く唸り声で応えた。
そして、天使は足を踏み込むと──その反動を利用して羽ばたきながら宙を舞ったのだ。
「!?」
それを見て勇美は息を飲んだ。
「驚く事はないでしょ? このガーディアンの翼は飾りじゃないのよ♪」
天子はそう得意気に言うと、空を舞った守護者に次なる命令を下す。
「ガーディアンよ、そのまま敵を蹴り飛ばしなさい!」
その指令を受け、天子は一気に翼を羽ばたかせると、屈強な脚を前に突き出して鋼の騎士に突っ込んで行ったのだった。
刹那、破裂音が辺りに鳴り響く。天使の蹴りが騎士の鳩尾にクリーンヒットしていたのだ。
その衝撃で騎士は後方に地面を抉りながら押し飛ばされてしまった。
「マッくん!」
相棒が押される様子に勇美は慌てふためく。
だが、当の騎士は気丈にも体勢を整えると、勇美にその顔を向けたのだ。
機械仕掛けの騎士だから表情は伺い知れない。だが、それはまるで『気にするな』と語り掛けているかのようであった。
「マッくん……」
その健気な相棒の姿
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