第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第46話 天上の鎧:後編
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「衣玖にも見せた事のない、私の取っておきよ!」
そのやり取りを見ながら、衣玖は思った。
「残念!! 私は今見ている訳ですから」
「貴方と天子、お互いに力を隠していた訳ですけど、この場合貴方の勝ちですね」
等と、まったりと話す衣玖と依姫であったが、依姫はここで気を引き締めて勇美を見据えた。
「さあ、勇美。貴方はどうするのかしら? 敵は本気を出して来たわよ」
外野の二人がそんな思惑を抱きながら観る中、天子は万を持して未だ見る者の少ないスペルを発動した。
「【護符「ガーディアン天子」】!!」
すると天子の周りの地面の土がアイスクリームのようにざっくりと抉れ始めたのだ。
そしてそれらは天子の眼前に集まると、徐々に何かの形に創られていったのだ。さながら巨大な粘土細工の工作である。
その光景を見ながら勇美は思った。──まるでマッくんのようだと。
無形の物から新たなる形を創る戦法。それは正に勇美の能力と依姫の神降ろしの力で生み出される彼女の相方、マックスに酷似していたのだった。
その最中勇美は感じる。借り物の力で戦う事、悪役を好む方向性に加えて(あと貧乳)、何かを創造して戦う所まで共通するのだ。
この人は色々と自分に似すぎていると勇美は考える。だからこそ彼女はこう渇望するのだ。
(負けられない!)
勇美がそう思いを馳せる中、とうとう『それ』は誕生していた。
天使の翼を持った逞しい体躯を持った全長5メートル程の巨人。
それが天子が抉り出した地面の土で出来ているのだから、まるで『神像』のようであった。
「それが天子さんの切り札ですか?」
「ええ、この力は余り他人に見せた事はないのよ。だから、あなたは私にこの力を使わせた事を光栄に思うといいわ!」
天子が言い終わると、土くれの大天使は羽ばたきながら足を付け地面を踏みしめた。
その姿は正に、役目の為に天界から遣わされた天使そのものであった。
地に降り立った天使は、じっくりと相手の鋼の騎士を見据えた。──これから拳を交える好敵手の事を。
方や英雄の権化。方や神の使いの権化。この神々しい光景は見る者を圧巻する事だろう。
暫く睨み合っていた両者。その均衡を破ったのは勇美であった。
相手は土、自分は鋼。それなら分は自分にあると勇美は踏んでの事であった。
「マッくん、お願い!」
その指令を受け、鋼の騎士はその屈強な金属の脚を踏み込み腰を入れて土の天使に斬り掛かった。
「迎え撃て、ガーディアン!」
対する天子も負けてはいなかった。自分が創り出した大地の守護者に指令を送る。
それを受けて、大地の守護者は鋼の騎士の一太刀をその腕で防いだのだ。
その瞬間、衝撃が走り辺りを飲み込んだ。
勇美は思った。この二人の戦いは防御力の高い天子はともかく
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