第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第45話 天上の鎧:前編
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である。
なので勇美は勝負に出る事にし、先程の爆撃を行った。
だが、結果は今の通りである。
勇美はその事に心の中で落胆する。
そして、世の中というのは災難が続く事が多いものだ。気落ちする勇美に、天子はとどめを指す事となる。
「やはり、緋想の剣が見極めた通りね」
「?」
「あなたは神降ろしの力を更に借りるという不安定な戦い方の性質上、『長期戦が苦手』のようね」
「……」
その指摘に勇美は返す言葉がなかった。
確かにその通りだったからだ。
自分でも無理をした戦い方をしていると勇美は感じるのだ。だから、何が何でも勝つ為に強引な攻め方をする、故に長期戦向けではない。
そうやって今まで戦って来たのである。だが、今こうして天子に弱点を突かれる形となっているのだ。
──こうなっては正攻法では無理だ、是非ともあの緋想の剣の能力、私も使わせてもらいたい。
そう勇美が思案していると天子から声が掛かる。
「そんなあなたにとっておき、見せてあげる」
言って天子は唇に手をあて微笑を浮かべる。やはり『てんし』なのに小悪魔的な印象が出ている。
その後、天子は構えた緋想の剣に念を送った。
すると緋想の剣はワインレッドの輝きを放ちながら天子の眼前で静止した。
そして、天子は宣言する。勇美にとって宣告となる、その技の名前を。
「【法魔「ケアリングコール」】」
その指示を受けた緋想の剣はワインレッドの輝きを一層強くする。
それに伴い、天子の体が目映く優しいエメラルドグリーンの光で包まれた。
天子のこの様子を見ていた勇美に嫌な予感が走る。そしてそれは現実のものとなる。
「天子さん、まさか……」
「ええ、ご察しの通り──」
そして、容赦なく伝えられる。
「──完全回復させてもらったわよ♪」
「……っ」
勇美はその瞬間歯噛みした。──悪い予感が当たってしまったと。
ただでさえ天子は防御力が高いのだ。それ故に勇美は彼女に満足なダメージが与えられなかったのだ。
そんな状況の中であろう事か天子は、緋想の剣戟の力を使いその傷を瞬く間に回復してしまった。
「参ったね……」
そう頭を掻きながら溜め息混じりに呟く勇美。そんな彼女の振る舞いが今の勇美の絶望的な状況を如実に表していたのだった。
そのような心境の勇美に対しても、当然だが天子は躊躇しなかった。
「安心して、このスペルは緋想の剣が一日に一回しか使えないから」
天子は言うが、それは勇美にとって大した慰めになってはいなかったのだ。
「そして、おまけに【乾●「荒々しくも母なる大地よ」】!!」
叫びながら天子は緋想の剣を地面に勇ましく突き立てた。
すると大地が激しく揺れる。
本当に強力な地震というものは人が地に足を踏み締めていられなく
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