第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第45話 天上の鎧:前編
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そして、天子はその剣を振り被りながら飛び上がった。
「させませんよ!」
勇美は天子の動きに合わせて機械の分身を現出させる。
「【装甲「シールドパンツァー」】!」
勇美に呼ばれ、彼女の目前に大振りの盾を持った戦車が現れた。
そして、主と敵の間に割り込み、剣戟の攻撃をその身で受け止めたのだ。
キィーンとなる金属音。だが、これで天子の剣戟は受け止めたのだ。
しかし、そこで勇美に安堵する余裕は訪れなかった。
「!?」
異変に気付く勇美だったが、時既に遅しだったようである。
「くぅ……」
彼女はものの見事に剣から放出され、装甲をすり抜けて迫った振動に吹き飛ばされてしまったのだった。
だが、間一髪で勇美は体勢を立て直して地面に踏み留まった。
「どうにか持ちこたえたようね」
天子は感心したように言う。
「こうでなくちゃ、依姫さんとの修行はこなせませんよ」
そう言って勇美は得意気に天子に返してみせた。
それを聞いて天子は何だか良い気分となって話を続ける。
「あなたの心意気、素敵だわ。それでこそ私が見込んだだけの事はあるわよ」
「そう言ってもらえると光栄ですね」
対する勇美もそう言われて嬉しく思ってしまう。
だが、ここで天子は敢えて手厳しい言葉を放つ。
「でも、忍耐強さは私の方が上よ。このまま戦ったんじゃ、あなたの不利なんじゃないかしら?」
「う〜ん……」
天子に辛い指摘をされ、勇美は苦い表情を浮かべながらも納得する。
確かにこのままのペースで戦っていたら埒が明かないだろう。
勇美はこれに同意して、次の手を考えるのであった。
「それじゃあ、結構無茶させてもらうからね♪ まずは『大黒様』!」
「何をする気?」
勇美の意味ありげな言葉を聞き天子は訝る。
「まあ見ていて下さい、次に『ハデス』様!」
そして勇美は第二の神に呼び掛ける。
「そんでもって最後に『セト』様!」
最後に勇美が呼び掛けたのは、古代エジプトに伝わる『嵐』『暴力』『暗黒』の神であった。
闇や冥界を司る古今東西の神が三柱。これらの力で勇美は何をするつもりなのだろうか。
その答えを今から勇美は示すのだ。
「大黒様、ハデス様、セト様。この三つの闇の力で以て、私は破壊の力を生み出す!」
その言葉と共に勇美の翳す右手の前に、大量の闇の力が集まっていった。
「!?」
それを見て天子は些か驚いてしまう。いくら勇美自身の力ではなく、神降ろしの力を更に借りたものであれど、これ程までの力を目の前のあどけない少女は操るのかと。
天子すら驚かせた闇の収束。これに続いて手のひらサイズの金属の板数枚が、それに蓋をするかのようにぴったりと繋ぎ合わさった。
見れば漆黒の三面体が勇美の手には握られていた。
「よし、完
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